2014.03.12 のニュース
ガソリン転嫁が本格化 ボトム価格160円を狙う~元売、決算月で完全値取り~
ガソリンの仕切価格は、3月1日から2~3円/リットル、8日から1円の各値上げ、合計で3~4円の値上げとなり、この値上げを受けて、販売業者はユーザー転嫁に本格的に取り組むことになった。2月のガソリン市況は値下がりが続いたが、ここで反転して値上げとなる。街道沿いではボトム価格160円を狙うことになる。安値のセルフは150円割れも散見するが、今後は値上がりに転じるものとみられている。仕切価格は消費税込みで147~148円となっており、マージン12円を加算すると160円相場となる。依然として業転と仕切価格との価格差が拡大しているが、元売もここで業転の値上げに取り組む。3月は元売の3月期決算の最後の月であるため、市況立て直しと赤字幅の縮小を図り、4月の新年度スタートからは黒字体制への転換を狙う。また、設備処理が完了して需給もタイトになることが見込まれており、3月値上げの完全値取り、4月からの消費税の転嫁を狙う。
ガソリンは3月に入り、2週累計で3~4円/リットルの値上げを実施した。原油価格は、ロシアによるウクライナへの軍事介入から米、EUとの対立を強めたため2~3ドル/バーレル値上がりした。その後は小康状態が続いているが、情勢は緊迫しており見通しは難しい。
一方、元売の業績は、在庫評価益を除くと、昨年10~12月は赤字、1~3月も赤字が見込まれており、通期で赤字となる厳しい状況にある。3月は決算月でもあり、この3月で黒字にすることで赤字幅の縮小を狙っている。そのためには3月の仕切価格の値上げを完達する方針で臨むことになっている。
3月末には消費税の増税を前にして仮需要が見込まれるため、需給は締まるものとみられる。4月からの消費税の増税を完全に達成するには3月で安値市況を立て直し、仕切価格の値上げを完全に転嫁して、発射台を高くすることが重要なポイントとなる。
3月値上げ達成後に、4月からの消費税の増税分は5円程度の転嫁で対処するため、連続値上げとなり難しい状況となる。3月値上げと、4月の増税で実質10円の値上げとなるため、高値感による節約とユーザーからの反発が強まることは必至である。
幸い設備処理が3月末で完了して、4月からは大幅減産となるため、その効果から需給はタイトになる。このように、新しい体制がスタートするためユーザー転嫁の環境は整備されるが、3月、4月と連続して大幅な値上げとなることから、未達となる公算もあり、販売業者の足並みが揃うか注目される。