2014.03.13 のニュース
復活にかけた決断を讃える
東日本大震災から3年が過ぎた。本紙前号の特集でも紹介している通り岩手や宮城など大津波によって全壊した多くの沿岸部のSSが、内陸部の高台に移転し本格的に営業を再スタートしたSSなどが紹介されている。福島の原発事故による立入規制地域内では、いまだに多くのSSが休止を余儀なくされているが、それでも徐々に営業を再開するSSがある。地域での供給を担うという責任感が背中を後押ししている姿だ。
巨大地震・大津波で一瞬のうちになぎ倒された街が、「遅い」という指摘はあるが次第に息を吹き返している。こうした地域でSSが復活し、仮設住宅住まいの馴染みのお客さんたちが戻ってきているという。こうした復活の話を聞くと、地域の生活や地場産業にとってSSは、なくてはならない存在であることが、改めて認識されたようでうれしい。
地域にはいろんな業種が必要だ。食材や生活資材などを提供する店舗や、病院をはじめとする様々な公共施設や各種サービス業なども必要不可欠だ。しかし、必要とされているとはいっても、SSが復活するには大きな決断がいる。それは、危険物施設に求められる厳しい基準によって、一般的な事業に比べて施設面でほかをはるかに凌ぐ投資額が必要だからである。
いま、全国で進んでいるSS過疎化。なぜ、この過疎化を早く止めなければならないかというと、前述のようにSSはいったん廃止し施設を撤去してしまえば復活は不可能だからである。需要が減少しマージンも激減しているこの石油販売業界で改めて巨額投資をし、新たなSSを作る事業者はほとんどいない。廃業しても店舗が残っていれば再開も可能だろうが、その場合でも、地下タンクや防火塀の状態次第で多額の投資が必要になるのである。
だからこそ、東日本大震災で全壊したSSが、同じ町で、さらには高台などに移転したうえで、新たにSSをオープンさせるのは、大きな決断が必要だったと思う。
復活した街に人々が帰ってくるから石油製品の需要は徐々に増えていくだろう。しかし、一方で、復旧・復興の工事に関連する需要がいつまでも続くわけでもない。いずれ終わりが来る。こうした実情を考慮したうえで、もう一度、地域のエネルギー供給を担うべく復活した組合員の仲間たちの決断を心から讃えたい。