日刊ニュース

2014.03.17 のニュース

様子見でユーザー転嫁が遅れる-調査価格との間に時間的なズレ-

 石油情報センター調査(10日)のガソリン価格は158円20銭/リットルで、前週に比べ30銭の小幅値上がりとなった。7週ぶりの値上がりである。今回の値上がりは、仕切価格が3月1日、8日から合計で3~4円の値上げとなったが、ユーザー転嫁が遅れている。仕切価格の値上げは、3月初めにロシアによるウクライナへの軍事介入により情勢が緊迫化したのを背景に、原油価格が値上がりしたためである。
 仕切価格の値上げは1日から2~3円、8日から1円の各値上げとなったが、販売業者の対応は、即ユーザー転嫁するのではなく様子を見守ることになり、実際の転嫁は11~12日となったため、調査日の10日(月)では、30銭の小幅な値上げにとどまったことになる。そのため調査価格は、次回調査(17日・月曜日)では値上がりするとみられる。
 週決めの仕切価格改定は土曜日からの実施(値上げ)となるが、これに対してのユーザー転嫁は即日でなく水曜日頃になる。需給が逼迫して緊急時の場合は、即日、ユーザー転嫁が実施となるが、大勢は遅れて実施となる。その理由は、①周辺SSの動向を見る、②土、日曜日は増販が見込まれるため転嫁を見送る、③SSのタンク在庫には仕切価格値上がり前の製品があるため、末端価格を値上げしなくてもよいなどの点があげられる。
 しかし、様子見で動けずにいると、その間に原油価格が値下がりとなり、ユーザー転嫁のタイミングを逃し、損失を被るケースも多い。値上がり前の在庫を持っているため、即値上げしなくてよいと転嫁を待つと、これから転嫁というときに逆に仕切価格が値下がり局面となるケースも多く、未転嫁でかぶりとなる。
今回も原油価格が下落すると厳しい状況になる。そのためユーザー転嫁は、仕切価格の値上げ日(土曜日)と同時に実施すべきであるとの見方もあるが、「転嫁待ち」が商慣習として残っており、なかなか改善されない。改善が難しいのは、価格競争、シェア争いが展開されているためであり、業転安の系列高という価格体系の存在によると指摘されている。
 仕切価格が値上げされても、業転、先物が連動して値上がりしないと、ユーザー転嫁が不発に終わることになる。需給が逼迫しているケースでは、業転、先物が先行して値上がりするが、需給が安定している場合は仕切価格が先行して値上がりとなり、これに業転、先物が追随して値上げすることになる。
 業転を値上げするには、まず元売が減産して需給をタイトにして、業転玉の放出を抑えることになる。各社とも減産方針を伝えているが、減産に対して減販が上回っており、減産方針も計画に対しての減産であるため、実需要と乖離しており、需給はタイトになっていない。在庫数量は前年に比べると減少しているが、実需要が減少しているため、実感としては供給不足になる水準には至っていない。
 これから4月の消費税の増税で仮需要が発生することなり、需給がタイトになることが予想される。一方、元売が決算対策で増販を狙うことになれば、供給増となり業転の値上がりは難しくなる。業転が値上がりして、仕切価格との価格差が縮小しなければユーザー転嫁は困難となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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