日刊ニュース

2014.03.18 のニュース

大幅なユーザー転嫁を最優先-元売と販売業者の対立は休戦-

 ガソリン市況は3~4月で大幅な値上がりが見込まれる。石油情報センターの調査価格では足元の158円/リットルから170円へ、首都圏のボトム価格は165円相場となる。3月に仕切価格の値上げで5円以上のユーザー転嫁、4月が消費税の増税で約5円の値上がりとなり、合計で10円程度の値上がりとなる。
 もちろん今後の原油価格、為替動向によって大きく変化するが、ガソリンは高値となり、ユーザーの節約浸透で減販となる。その結果、価格競争が展開されて市況が下落、マージンが悪化してSSは経営難となるとのシナリオが今から想定されている。ユーザー転嫁が難しいとの悲観的な見通しとなっているが、石油業界(元売、販売業者)としては、何としても乗り切るべき大きなヤマ場を迎える。このような重要な時期であるため、元売、販売業者が業転問題で対立することなく、一丸となってユーザー転嫁に取り組むべきである。
 ガソリンの高値は、08年8月に185円を経験しており、この水準に比べれば低いが、大幅な減販が見込まれている。ちなみに08年8月のガソリン販売は469万キロリットルで前年比14%減となった。高値であるため、値下がりを見込んだ買い控えなどが発生した。同年4月にはガソリンの暫定税率が廃止され、その前に仮需要と買い控えがそれぞれ発生して混乱した年であった。また、10月から週決めの新価格体系が実施された。
 当時は原油先物の市況が急騰した時期であり、世界経済が大混乱した。その後、9月のリーマンショックを経て一気に原油価格は急落、ガソリン価格も年末には100円にまで値下がりした。この原油価格の急騰に際して先物市場のあり方に批判が集中し監視体制が整備された。
 最近では、円安と原油価格の高止まりで、昨年9月にガソリン価格が161円を記録した。原油CIF価格は昨年10月で7万円/キロリットル台に乗せ、今年1月は7万5000円と値上がりしており、コスト増の転嫁が遅れたため、元売の業績は在庫評価益を除くと赤字となっている。足元のガソリン価格は158円の高値で推移しているが、コスト増は回収できていない実態であり、円安分のJスト増の転嫁は難しくなっている。
 一方、高値を反映して、ガソリン販売は13年の暦年では前年比で1.5%減、今年1月は1.8%減となっている。最近では省燃費車、小型車の普及、若者のクルマ離れ、少子化などから減販が続いているが、これに高値による節約が浸透することで減販が加速すると心配されている。減販、マージン減による経営難からSS数は減少しており、ピーク時の6万SSから3万5000SSに減少、現在も減少が続いている。
 SSの過疎化問題も議論となっており、サプライチェーンの維持・強化が求められているが、SSの減少に歯止めをかけるための対策は、規制緩和の立場から決め手がない。そのため公正な取引を確立するための議員立法の動きもあり、元売と販売業者の対立が続いている。業転と系列仕切の価格差の是正、それが困難であるならば業転を購入できるようにするべきと要求しているが、この問題は簡単には解決しない。未決のまま3~4月を経過しそうであり、ここは対立関係を休戦として、転嫁を優先して達成すべきある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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