日刊ニュース

2014.03.25 のニュース

減産、在庫減少も業転に反応せず-ユーザー転嫁の遅れが心配-

 製品在庫は、低位で推移しているが、簡単には値上げには結びつかないようである。減産により在庫減で需給が締まり、業転、先物が値上がり、仕切価格の値上げと同時に末端市況が値上がるという、これまでの値上がりパターンを想定することは難しくなっている。
 石連週報では、ガソリン在庫(15日)が192万キロリットルで前週比4万キロリットル減、前年比では25万キロリットル減、灯油在庫は123万キロリットルで前週比17万キロリットルの取り崩しとなり、前年比では70万キロリットル減と大幅な減少となっている。このように在庫が低位にある状況下で仕切価格の値上げが実施されているが、業転、先物の値上がりとユーザー転嫁が遅れている。
 ガソリンの仕切価格は3月入りから連続して3~5円/リットルの値上げを実施しているが、末端市況は石油情報センターの調査価格(17日)では159円で、1円値上げにとどまっている。灯油のSS店頭価格は103円50銭で横ばいで推移している。仕切価格の値上げ時期(土曜日から)とユーザー転嫁の時期(翌週の水曜日頃)、調査日(月曜日)との間に時間的なズレもあるが、ユーザー転嫁の遅れが目立ち未遂が心配されている。
 3月の仕切価格の値上げは、ロシアのウクライナへの軍事介入を要因とした原油価格の値上がりを反映したものである。さらに、4月からの消費税の増税で5円程度の値上げとなるため、3月中には安値物を底上げしておくことが狙いとなっている。ユーザー転嫁も始動しており、首都圏の街道沿いSSではボトム160円を構築する動きにある。しかし、ユーザー転嫁が遅れ気味であり、達成が心配されている。
 仕切価格の値上げとユーザー転嫁への反応が遅れている要因をみると①業転のシェアが増加しており、元売も価格(市場)支配力が弱くなってきた、②減産して在庫が減少しても、予想よりも減販となっており、需給タイト感が薄い、③在庫が減少しても供給が確保されるとの安心感から業転が値上がりしない、④業転と仕切価格との格差が拡大しており縮小されていない、⑤そのためHC、量販店、無印SSの安価が是正されないなどの点があげられている。
 各社は減産で対応しており、設備処理も3月末で完了するため需給はタイトになる。加えて4月の消費税の増税を前に仮需要が発生するため需給環境は整備されるとの見方もある。一方では、商社系を含めて業転ルートが拡大することになり、この業転ルートへの供給が安定的に確保される体制が整備されているようである。元売間の販売戦略の違いもあるが、シェアを確保するには、無印、HC、量販店への供給が重視される。これらの供給は元売が直接行なうことはないが、商社などを活用して行なわれている。
 結果的には、安値の業転が増加すると、その他で利益を確保することになり、系列仕切価格の値取りを優先することになる。そのため系列仕切価格は割高となる価格体系が打ち出されることになり、業転との価格差が拡大する。この業転問題に対し議員立法の動きもあり、全石連は公正な商取引の確立を求めているが、法律による規制・指導で対応が可能なのかは今後の議論となる。この問題は石油・天然ガス小委でもテーマとなっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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