日刊ニュース

2014.03.26 のニュース

各社の設備処理計画が出揃う-重質油分解装置の導入メリット無くなる-

 石油各社の高度化法による設備処理計画は出揃った。対応が未定であった太陽石油・四国でトッパーを2000バーレル/日削減して11万8000バーレル/日に、RFCCを4000バーレル/日増設(8月の定期修理で実施)して、2万9000バーレル/日にする。11日にはコスモが四日市でトッパー4万3000バーレル/日を削減することを発表しており、極東は2~3万バーレル/日を削減するとの方針を明らかにしている。
 高度化法による設備処理は、原油の有効利用のためにガソリン等への白油化の向上を目的として、重質油分解装置(RFCC、コーカー、H‐オイル)の導入を促進することで装備率の向上を図ったものである。
 装備率を引き上げるには、トッパーを削減するか重質油分解装置を増強するかの選択となるが、原油の重軽格差が縮小されており、分解装置を増強しても利益が見込まれず、結果的にはトッパーの削減での対応と等しくなる。4月以降はトッパーの削減により減産となり、需給はタイトになる。
 過去にも行政指導により設備処理が行なわれたが、今回は高度化法という法律で実施となり、違反には勧告・命令の措置が取られ、命令に違反した場合は罰則(100万円の罰金)が課せられるという厳しいものとなった。平成21年(2010年)8月から施行、目標達成は今年3月末となっており、期限を迎えたものである。ただ、施行に際して「操業を停止していたトッパーが削減対象としてカウントされた」「RFCC、コーカーを増強して装備率が向上したが、施行前であったため、これに改善率が加算された」「事前に説明がなかった」などの不満が出た。
 目的は重質油分解装置の新・増設で白油化を促進する狙いであったが、原油の重軽格差が拡大したのは2008年夏の原油価格が急騰した時期であり、その後は、リーマンショックで急落して原油の価格差が縮小して今日におよんでいる。原油価格は高止まりしているが、重軽格差は、拡大するとの見通しは外れる結果となった。巨額な資金投入してもコストは回収できず導入メリットがなくなっている。今回、装備率を引き上げるために一部で重質油分解装置の増強で対応したが、数字合わせの結果であり、ほとんどがトッパーを削減で対応したことになる。
 装備率の引き上げの改善目標としては、装備率が計画提出で10%未満の精製業者は改善率を45%以上に、10~13%未満は30%以上に、13%以上は15%以上にそれぞれ引き上げ率を設定した。例えば東燃ゼネラル石油は、計画提出時の重質油分解装備率は4%であったため目標改善率は45%以上となる。川崎・第一、和歌山・第二を削減、川崎のH-オイルの増強で改善率46%でクリアしている。JXは提出時は装備率は10%であり、改善目標は30%以上となるため富山、室蘭の全トッパー削減(製油所の閉鎖)、その他を削減して31%となり目標を達成している。
 2月25日開催の初の石油・天然ガス小委では、対応を検討中の企業はコスモ、太陽、極東となっていた。次回は、4月以降の対応を検討することになり、装備率の向上の内容、装備率の改善目標などの見直し、その他の制度設計などが審議される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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