日刊ニュース

2014.03.28 のニュース

C重油より安いガソリン価格-大口C重油はコストを回収-

 JX日鉱日石エネルギーの1~3月大口向けC重油価格が決着した。LSC重油は、8万3050円/キロリットルで前期(昨年10~12月)の8万0190円に比べ2860円の値上がり、HSC重油は7万5900円で2650円の値上がりとなった。値上がりの要因は、円安によるコスト増を反映したものである。足元のガソリンの業転、先物が8万円/キロリットル程度(ガソリン税抜き)で推移しており、LSC重油の方が高値となっている。
 大口C重油は、コスト増加分が値上げとなったが、ガソリンなど市場連動方式で価格が決まる油種では、コスト増が転嫁できずに推移している。その結果、元売の業績は悪化、実質赤字となっている。原油価格は高止まりで推移しているが、とくに、円安分のコスト増が転嫁できず難航している。赤字は下期以降、長期にわたっている。
 このLSC重油の決着価格の8万3000円水準は、最高値であった2008年(平成20年)7~9月の9万7480円に次ぐ、過去二番目の高値水準である。2008年7月に原油価格が急騰して、WTIで145ドル/バーレル、ドバイで140ドルを記録した時期であり、ガソリンの末端市況は185円/リットルの最高値を記録した。
 急騰後の同年9月、リーマンショックから原油価格は急落、年末には40ドルになるという激動した時期であった。加熱した原油の先物市場に対し批判が集中して制度の見直しが行なわれた。結果として、最近は110ドル前後の高値で推移している。
 1~3月の決定価格は、12月~2月の原油CIF、諸経費、税金、為替、製品輸入価格、国際価格、などを積み上げたコスト連動(原価計算)方式を採用している。そのためコストは保証されており、赤字になることはない。ユーザーがコストを認めることを条件に、元売は安定供給を保証するという値決め方式として定着している。
 コストとなる原油CIF価格は南方物が113ドル/バーレル、中東物が111ドルの高止まりの横ばいで推移している。だが、為替が103円/ドルで前期に比べて4円の円安となり、この円安分が2900円のコスト増となり、この部分の値上がりが認められたことになる。
 今回のLSC重油価格は、JXと東電との交渉で決まったもので、他のユーザーとは、この決定価格に基づき値決めすることになる。
 一方、ガソリンなど白油物の価格決定は、市場連動の週決め方式を導入している。大口C重油はユーザーが決まっており、双方に信頼関係が成立するためコスト変動方式が可能となるが、ガソリン、中間留分などのユーザーは不特定多数となるため、市場連動して価格が決まる。業転、先物市況を基準にして、これにブランド料を加算する方式で対応しているが、ここにきて業転との価格差問題が浮上しており、元売と販売業者との対立が続いている。
 市場は需給によって決まるため、現在の需給環境ではコスト増が転嫁できず、元売の業績は悪化している。販売不振による需給の緩和からマージンが低下したことが指摘されているが、コストの大半を占める原油価格の変動を加味した総合的な判断による体系の見直し論も出ている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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