2014.04.01 のニュース
新年度の幕開けに向けた思い
1年の節目となる年度替わりの前後は、石油業界にも深く関わる出来事が数多く起きてきた。過去10年を本紙で振り返ってみると、「一般消費者向けの総額表示スタート」(04年)、「道路特定財源の一般財源化阻止・暫定税率撤廃のための署名全国運動の実施」(06年)、「暫定税率の期限切れに伴う大混乱の発生」(08年)、「高速道路休日上限1000円特割の開始」(09年)、「東日本大震災後の復興支援活動」(11年)等々、今日にも大きく影響している事象が目立つ。
しかしその間にも、登録販売業者数は年平均700人、SS数は1200ヵ所超が減少、同様のペースで推移したと仮定すれば、きょう13年度末では1万7500人・3万5000ヵ所程度となる。まして、系列SS数はそれを上回る減少ペース。元売の意思はSSのさらなる集約化に向いている。備蓄や物流に対する支配力、SS市場に与える絶大な影響力をもって、効率至上主義を突き進み続けている。これを仕かけるだれかがいて、迎え撃つだれかがいるから、際限がなく行き過ぎる。わずか数社へと再編された元売による販売政策のツケを、数万の販売業者が払わされている。あまりに理不尽だから姿勢を正すべき、と言うのは的外れだろうか。
量やシェアがものをいう元売の競争原理。需要減に転じた昨今、小売商の考え方とは相容れない部分が膨らみ続けている。ガソリンを売れば売るだけ儲かる時代はもう来ない。がむしゃらに量を追い、そのあとで、ようやく一息つけるだけの薄利が還元される程度の事後調整回帰を歓迎するのか。「透明かつ公正な競争」の旗印をおろすのか。販売業界は、まさに大きな岐路に立っている。
振り返れば、石油産業として、販売業界として、個社・個店として、それぞれに幾多のハードルがあった。そこをいままでなんとか乗り越えてきた。運営SS数を削り、コストを削り、人を削ることなどによって、忍耐力は高まった。しかし、資金力や安定性・成長性も兼ね備えた体力となると…。災害にも強い「石油の力」を最終消費者や各産業にくまなく届け、生活の力・経済の力を支えるのは、我がSS網と配達網だ。新年度も石油組合は多様な事業を通じて横糸を支え続ける。元売各社も、縦糸を束ねて太くするばかりでなく、たとえ細くても大事な糸を残すことに協働してほしい。