日刊ニュース

2014.04.02 のニュース

告示改正 分子対応でFCCを対象に-トッパーは公称能力の削減を認める-

 エネルギー高度化法の大臣告示(判断基準)の改正に向けた本格的な検討が開始された。総合資源エネルギー調査会石油・天然ガス小委は28日に2回目の会合を開催した。前回(2月25日)で、新たな目標を設定することを決めていたが、委員、オブザーバーからは①石油各社の意見も十分聞くべきである、②現行の告示では分子となる重質油分解装置の投資が巨額となるため、もう少し緩やかにすべきである、③現行の高度化の方向性は正しいが、国が義務付ける制度のあり方には異論がある、④単に設備の縮小でなく、輸出競争力の強化を考えるべきである、⑤石油製品のマージンが低いのは需給バランスが崩れ業転玉が流通しているためであり、供給過剰問題を処理すべきである、などの意見が出た。
 これらの意見を参考に、事務局から告示の改正に向けた基本的な方向性として見直し案が出された。主な見直しは、①「装備率の向上」にかかる定義の見直し。②新たな装備率定義による目標の設定、③複数企業による連携が評価され措置の導入を行なう、などの点が提示された。
 「装備率の向上」の定義の見直しでは、分子にあたる重質油分解能力については、現行の常圧残油を直接分解するRFCC、コーカー、H‐オイル(東燃ゼネ石)と限定していたが、新たに接蝕分解となる残油処理能力(FCCなど)も対象とする。FCC(流動性接触分解装置)とは減圧蒸留軽油を原料とした、ガソリンなど白油の増産装置である。石油各社から既存のFCCをカウントすべきとの要望が出ていたもの。
 最近は原油価格の重軽価格差がなくなり、重質油分解装置を新・増設するとコストが回収できずに赤字となるため新設は行なわれていない。コスモ、太陽がRFCCを建設したが、これは高度化法の施行前である。現在、高度化法対応で設備を建設することになればメリットがなく、無駄な投資となる。
 また、分子対応については「柔軟な石油・石化等生産体制の強化等を伴うものとし、実質的な改革努力や改善効果が認められ、安定供給に配慮した対応のみを認める」などの見直し案が示されている。
 分母の対応はトッパーの削減・廃棄となるが、このような削減・廃棄の継続を認めることは限界であるため、今回は「公称能力(備蓄法に基づく届出の能力)」の削減を認めることにしている。公称能力は実際の設計能力よりも多いため削減する余地があり、その対応を認めることになる。結局、「分母対応」では「公称能力の削減」を認め、「分子対応」では、残油処理能力(FCC)をカウントすることで緩やかな見直しを行なうが、分母と分子が同じ比率になれば装備率は変わらないことになる。さらに、新政策で打ち出した複数企業の連携による事業運営についても評価すべきとしている。
 今までの措置は、計画提出時の装備率が10%以下の低いところは45%以上の改善率を求め、装備率13%以上のところは15%以上の改善率を求めており、装備率が高い企業も改善率の向上が求められ、その目標は達成されている。ただ、設備処理をした届出時の装備率でみると大きな差が生じており、次回の設備処理策は、装備率の高い企業には配慮すべきとの意見もある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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