2014.04.03 のニュース
紛らわしい価格表示はないか
消費税が8%へと増税された。89年4月から税率3%で始まったが、石油業界では同時期、ガソリンの生産枠指導が廃止されている。97年4月からは5%へと引き上げられたが、その当時は「組合による石油製品の共同購入」、「特約契約や商標権行使のあり方を見直すべき」と促す機運が非常に高まっていた。そして今回、増税第2弾の背後で、奇しくも過去2度の状況を合わせたような供給過剰・系列業転格差の是正、それに起因する不公正取引の適正化、仕入れの柔軟化といった問題意識が広がっており、政治・行政による具体的な動きも顕著になっている。
SS市場はどうか。89年4月の消費税込みレギュラー価格は123円、97年4月は111円。今般は160円台が大勢となり、石油情報センター調査によれば全国平均価格は昨年1月15日以降、62週連続で150円以上、12年8月13日以降、83週連続で140円以上での高値が続く。5千円での購入可能量は、89年が41㍑、97年が45㍑で、いまは30㍑程度という計算になる。一方、厚労省の国民生活基礎調査による世帯平均所得は89年567万円、97年658万円に対し、直近データの11年時点で548万円と下がっているから、家計に占めるガソリン代負担は増している様子がうかがえる。
こうした中での消費増税。しかも、地球温暖化対策税とのダブル増税である。SS店頭では、先週末から仮需対応や円滑、適切な転嫁対策などを講じてきたが、ガソリンの高値基調に拍車がかかり、ユーザーの節約意識を加速させる可能性がある。裏返せば、価格競争の熾烈化が懸念されるが、昨今、価格の多重表示が再び加熱し過ぎてはいないか。
遡ると09年、消費者の誤認を招くような多重表示の横行を問題視した全石連は、その改善に着手。消費者代表からも「消費者心理を惑わす表示は業界の信用失墜を招く」と指摘されていた。そこで店頭価格表示ガイドラインを示し、“簡潔”“明快”な表示に努めることに。その際、石油連盟にも協力要請している。消費増税に際しても、全石連・石連は消費税総額表示ガイドラインを再制定して整数の総額表示を推奨、全石連は転嫁・表示カルテルを結んだ。エネ庁も全SS事業者に総額表示を要請済みである。
紛らわしい価格表示は、誠実さを欠く行為だということを再確認したい。