日刊ニュース

2014.04.07 のニュース

大地震に備える石油業の役割

 2つの大規模地震対策特別措置法に基づき、「震度6弱以上の地域」「津波高3㍍以上で海岸堤防が低い地域」「防災対策の確保、過去の被災履歴への配慮」を基準に、南海トラフ地震対策として29都府県の707市町村が「防災対策推進地域」、首都直下地震対策として10都県の310市区町村が「緊急対策区域」に指定された。同時に、南海トラフでは「30㌢以上の浸水が地震発生から30分以内に生じる地域」などを基準に14都県の139市町村が「津波避難対策特別強化地域」、首都直下では千代田、中央、港、新宿の4区が「首都中枢機能維持基盤整備等地区」に指定されている。
 国内の全市区町村数は1742。今般、対策の重要性から指定に至った地域数は重複を除いて全国の約半数にも達する。南海トラフ(M8~9クラス)、首都直下(M7)地震ともに30年以内の発生確率70%程度と見込まれる中、防災対策を推進するための基本計画を定め、大幅な減災目標の達成に向けて諸施策が提示されたが、石油製品の備蓄、配送、給油に至る安定供給体制の整備と、その実務を担う販売業者の役割が改めて浮き彫りになったと読み取ることができるだろう。
 一方、政府は大規模地震防災・減災対策推進大綱を定めた。これまでに策定された東海、東南海・南海、首都直下、日本海溝・千島海溝周辺海溝型、中部圏・近畿圏直下の各地震対策大綱を統合し、南海トラフ巨大地震対策検討WG、首都直下地震対策WGの両最終報告を踏まえ、検討すべき施策、個別の具体的施策を網羅的に取りまとめている。これをもとに省庁などの防災業務計画や自治体の地域防災計画に反映されるよう働きかけていくことになる。新大綱も、石油の重要度を所々で指摘した。行政レベルでは東日本大震災の教訓が生かされ始めている。
 ところが、石油製品在庫に対する一般消費者の反応は鈍い。内閣府の防災世論調査によれば、大地震が起きた時の心配事として「ガソリン・灯油などの燃料不足」を挙げる回答が3割あったが、実際の備えとなると「マイカーの燃料が半分以下になれば満タン」派は16%にダウン。特に中京以西で実行が伴わない様子が気がかりだ。5円程度のW増税でも、駆け込み需要があった。大規模災害を見越した常日頃の備えをユーザーに呼びかけることも、SSの大切な役割ではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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