日刊ニュース

2014.04.07 のニュース

在庫の大幅減少も需給締まらず-減販と業転ルート確立で決め手欠く-

 石油製品の在庫は前年比では低位で推移しているが、それ以上に販売数量が減少しており需給は締まらず、業転と系列仕切との価格差は解消されていない。前年比で大幅に減少していても減販となっているため、従来の需給取組みのパターンでは通用しなくなっている。4月から高度化法でトッパー処理が実施となるため、その効果が期待されているが、現実に需給が締まり、業転が値上がりして価格差が調整されるかの試金石となる。
 石連週報によるとガソリン在庫(29日時点)は181万キロリットルで前週に比べると6万キロリットル増であるが、前年に比べると40万キロリットル減となっている。灯油在庫は119万キロリットルで前週比で8万キロリットル減、前年に比べると58万キロリットルの大幅減となっている。軽油在庫は129万キロリットルで前年比では63万キロリットル減となるなど、各油種とも前年比では40~60万キロリットルの大幅減となっている。
 このように在庫は前年に比べると低位で推移しているが、業転市況が値上がりするまでに至っていない。市況を維持、値上げするには、減産により在庫を引き下げ、需給をタイトにして業転を値上げ、同時に仕切価格を値上げする方策が常套手段であった。だが、最近では在庫を減らしても業転が値上がりすることはなく、決め手のない状況が続いている。
 前年に比べて在庫が減少しても、それ以上に減販となっているのと、業転玉が増加しているため、いわゆる業転ルートを通じて安定した供給が確立されており、在庫が減少しても供給面では問題がない状況となっている。業転ルートは、商社系を含めると20%のシェアを占めており、残る80%が系列販売となる。過去は5%程度と少量であったが、20%となると市場に与える影響力は大きい。大手商社系は自社のブランドを保有しており、元売と同じ機能を有している。さらに、HC、量販店、無印SSなどが業転ルートに参入しており、結果的に系列SSより割安で販売している実態である。
 安値の業転を購入しているためHC、量販店などでは系列仕切と同値で販売しており、販売業者から「これでは正常な商売はできない。元売の差別対価が存在するのではないか。業転を値上げするか系列仕切を値下げするか、これが出来ないのであれば業転を購入できるようにすべき」との反発が強まり、今回の業転問題となった。現在、議員立法が議論されている。
 足元の販売をみると、ガソリンは1月が前年比で2.8%減、2月が6.8%%減となっている。3月は消費税の増税もあり、月末で仮需要が発生して3~4%増が見込まれているが、4月はその反動で減販となるため、マイナス基調は変わらない。25年は1.5%減であったが、ここにきて減販が予想以上となっている。灯油販売は1月が285万キロリットルで13%減、2月は279万キロリットルで2.4%減となっている。2月末在庫は147万キロリットルで27%の大幅減となっている。軽油販売は、復興需要増で1月が262万キロリットルで3%増、2月は270万キロリットルで3%減となっている。2月末の在庫は169キロリットルで13%減となっている。
 各油種とも減販幅が大きく、需給構造も大きく変化しており、適正在庫の水準も再考する時期にきている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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