2014.04.09 のニュース
設備処理効果の期待感高まる-ガソリン業転問題の解決見込むが-
4月入りとなり、消費税の増税転嫁が焦点となったが、ガソリンの増税分の転嫁は浸透した。今後は高度化法で実施された設備処理の削減が、需給にどのように反映するかが注目されてくる。製油所の閉鎖、トッパー削減が実施となったことで大幅な減産となる。加えて製油所の春の定期修理が重なるため製品需給はタイトになる。業転玉が少なくなり、業転の値上がりが見込まれている。
今までは需給が緩和したため市況が低迷し、マージンが低下して元売、販売業者の業績が悪化したが、今後は減産により需給がタイトになることで市況が回復し、マージンが確保される。元売も製油所の閉鎖、設備処理という資産を失う犠牲を伴ったが、供給増が解消され、マージンが確保されるという新しい体制が構築されることになる。
販売業者サイドでは「供給増による価格競争が解消される。業転玉の出回りも少なくなり業転市況も値上がりするため、安値販売も減少、SSのマージンも確保され、黒字の業績が期待される」と減産効果を歓迎している。希望的なシナリオでは、需給がタイトになり業転が値上がりして、仕切価格との価格差が解消されれば、販売業者が要望している業転問題も一気に解決することになる。
業転問題を巡っては、販売業者は「業転と仕切価格との間で価格差があり、業転を値上げするか、仕切価格を値下げして価格差を縮小すべきである。業転との価格差が是正されなければ、自由に業転を購入することを認めるべきである。このように公平な取引を確立すべきであり、これが実施できなければ法律(議員立法)で行なうべきある」と要望している。現在、議員立法を巡って調整が行なわれているが、まだ時間がかかりそうである。
この業転と系列仕切との価格差問題は、当初は元売がブランド料の引下げによる仕切価格の値下げと、流通証明書の添付により業転ルートを解明することで決着の見込みとなった。だが、市況低迷から業転安が続き、価格差が拡大したことで調整が難航して今日に至っている。
流通証明書の添付が実施となったが、通常の系列販売のケースは現行の納入証明で可能となっており、商社系など、いわゆる業転ルートが対象となるが、仮に安値の供給ルートが判明した場合でも、安値を是正できるのか疑問視する見方もある。
そのため、設備処理によって供給過剰が解消して、需給タイトによる業転の値上がりを期待する見方が強くなっている。だが、設備処理の効果として、直ちにガソリンの業転が値上がりするのか否かはもう少し時間をみる必要がある。
確かにトッパー能力は削減され、石油製品全体の生産は減少するが、①ガソリンの生産が大幅に減産になるとは限らない、②ガソリン製造装置には余力があり、各社とも従来の供給ルートは確保する体制で臨んでいる、③業転ルートのシェアは20%と多く、系列販売と同じ扱いで供給を確保しているため供給を締めることは難しい、などの問題点も残る。
設備が処理され需給がタイトになっても業転が系列仕切価格を上回ることは難しいとみられる。仮に業転が値上がりすれば業転問題が解決することになるが、そのヤマ場を運休商戦中に迎えることになりそうである。