2014.04.15 のニュース
太陽が高度化法の告示改正で意見-装備率24%の最高水準達成を強調-
現在、エネ庁から高度化法の大臣告示改正に向けた基本的方向性が示され、各社とのヒアリングが行なわれているが、太陽石油は「設備率の向上の定義は変更すべきでない」との意見を発表した。各社はヒアリングで意見を述べているが、文書でコメントしたのは太陽が初めてである。
今回の改正となる第2次高度化法の方針は今月末にも内定となる予定であり、需要が年率で1.7%の減少が続くという現状を踏まえて、設備処理に取り組むことになる。新たな目標を設定することになるが、そのポイントは、①「装備率の向上」の定義を見直しする、②新たな装備率定義による目標の設定を行なうことになる。うち「装備率の向上」の定義の見直しでは、分子となる重質油分解能力のみでなく、残油処理能力に着目するとしている。
現行法ではRFCC、コーカー、H‐オイルと、トッパーからの残油を直接分解する重質油分解装置に限定していたが、今回の改定案では、FCC、直接・間接脱硫装置などに拡大することになりそうである。この改正案は、FCCなどを保有していた会社から白油化に寄与するため、分子に加算すべきとの意見が出ていたものである。FCCなどを加えると装備率は向上することになる。これらの改正により各社間で解釈を巡り損得が発生するため、意見が分かれている。また、分母となるトッパーの削減は、公称能力の削減(現行は装置の廃棄)を認めることになる。廃棄では限界にあり、能力削減を提示することで、原油処理の削減で調整することになる。
太陽の告示改正にあたっての意見は、①「装備率の向上」にかかる定義を変更すべきでない、②唯一の製油所である四国事業所の装備率は、もともと20%を超える水準にあり、現行告示の対応で24%となり、国内の元売の中で最高水準にある、③既に基本的に重油・残油を出さないボトムレスの製油所となっており、原油の高度化利用の観点からは完成済みの製油所であり、今後も重質油分解装置の装備率を引き上げることを求める政策として不適切である、との見解を発表した。
太陽の場合は1製油所のみを有する事業者ということで、装備率の向上により供給確保に支障を来たす場合は、それに準じる対応が認められている。だが、高度化への対応では、高度化法が施行される直前にRFCC(2万5000バーレル/日)を建設して対応、装備率は20%を達成した。現行の高度化法では、当時の国全体の装備率は10%程度であり、これを13%程度までに引き上げることを目標とした。この時点で目標値を大幅に超えた20%という高水準を達成したことになるが、現行の告示でさらに改善が求められたため、分子のRFCCを4000バーレル/日を増設して2万9000バーレル/日として、分母のトッパーは2000バーレル/日を削減して11万8000バーレル/日としたことから装備率は24%(現行は20%)と高水準になる。
現行の改善目標を達成するために、届け時の重油分解装置の装備率が10%未満の企業の場合は、改善率を45%以上とし、10%~13%未満は、改善率を30%以上に、13%以上の企業は、改善率を15%以上と設定したが、仕上が装備率では格差が出ることになった。