2014.04.22 のニュース
設備処理で業転の上昇を見込む-流通証明書添付の成果に期待-
トッパー能力が削減され減産となるため、製品需給がタイトになり業転市況の値上がりが見込まれている。ガソリンの業転が値上がりとなれば、元売の仕切価格との価格差が縮小するため業転問題も解決することになる。
業転ルートの解明を狙って流通証明書の添付も実施されるため、無印SSに対しての流通経路が解明され、安値仕入、安値販売が是正されることになる。安値仕入となれば、差別対価となり、安値販売となれば、不当販売となるが、その実態が解明されることで公正な商取引きが求められることとなる。
このように、流通証明書、高度化法による設備処理というシナリオが浸透することで需給がタイトになり、業転の値上がりが実証されることになれば功を奏したことになるため、今後の動向が注目されている。
現在、第二高度化法に向けて、引き続きトッパー能力の削減に向けた検討が行なわれており、近く方針が決まる。そのため現行方針の「装備率の向上」の定義の見直し、改善目標の設定が行なわれており、今後3年をかけて、引き続き設備処理が行なわれることになる。ポイントとなる「分子」については、重質油分解装置の現行の設備から、さらにFCC、脱硫装置、水素化分解装置などの白油化に寄与する2次装置まで拡大する。その結果、装備率は大幅に増大するが、各社の保有する2次装置によって新たに格差が生じることになり、これをベースに改善率の目標設定となると、有利、不利が発生することになるため意見が分れている。いずれにしても、今後も需要減に対応した需給調整は行なわれることになる。
足元の業転問題を巡っては全石連と元売とが対立関係にあり、自民党・流通問題議連による議員立法も視野に入れての調整が行なわれている。この問題は業転と仕切価格との価格差問題であり、業転が値上がりすれば解決する。その価格差をどこまで縮小するか数値で求めることは難しいが、需給がタイトになり業転が値上がりすれば確実に縮小する。
設備処理により需給タイトとなり、価格差が縮小すれば業転問題は解決となるが、実際にどこまで縮小されるのか、元売による新しい仕切価格体系の打ち出しとも関連してくる。
当面の需給は、4月1日からの消費税の増税で3月末に仮需要が発生したため、4月初旬は減販となっているが、これから連休商戦に入り需要も回復するのと、製油所の定期修理が重なって一気に需給はタイトに
なる。その時期は5~6月と予想されるが、新しい供給体制が整備されるのか否かが注目される。
ただ、市況は需給で決まるとの経済原則もあるが、石油の場合は需給を締めるとしても、一方では安定供給という使命もあり、急騰するまで、需給を締めることができるのか難しい面もある。供給不足の一歩手前でコントロールすることになるが、マージン確保となると各社間での思惑の違いもあるため、予断は許さない。
だが、設備能力が削減されており、生産も制限されるため需給が緩和する状況が少なくなることで、業転玉がなくなり、業転が値上がりする環境が整備されるため、4月以降の新年度は、3月期決算のような赤字が続くことはなくなるとみられる。