2014.04.24 のニュース
主軸1,050億㍑からの収益
石油販売とのコラボレーションを図る目的で、伊藤忠エネクスがカーディーラーを傘下に収めた。クルマメーカーに対して全方位外交を取らざるを得ない大手元売には手を出しにくい事業に見えていたが、商社系には踏み込める領域なのだろう。新車購入者にお得感のあるガソリンを提供したり、全国のSSネットワークを駆使した利便性の提供を図る構図がイメージされるが、石油販売を基盤に成長を遂げた特約店の中には、グループ会社としてカーディーラーを擁するところもあるから、決して目新しい分野ではない。それでも、総合商社系のノウハウを駆使して、縮小均衡型を余儀なくされた石油販売の国内ビジネスモデルの閉塞感を打破することを期待したい。
軽整備から車検全般へと踏み出したり、ごく当たり前にクルマ関連ビジネスを取り込んだSSは多い。先ごろ1万台を突破したコスモのビークルリースなど、元売によるクルマを取り込んだビジネスモデルも多く発信されている。単なる石油販売の機能しか持たないSSのほうが、ごく少数となっているから、SSや元売がクルマ関連分野に傾注することは至極、自然な商流だろう。
ただし、SSの主軸はあくまで石油販売であり、そこからの事業収益をこのままの低水準に放っておいてよい訳がない。
ダブル増税によって、激戦地でも160円ガソリンが当たり前になった4月以降、お客様の価格に対する評価は、一段と厳しさを増している。こうした現実の前に、160円を割る廉売商法が起きやすくなっているのも事実だが、それでもSS経営者は石油販売の収益を良化させることを目指し続けなければならない。軸足がきちんとした石油販売の収益基盤のうえで、クルマ分野に、高齢化が進む地域社会に、多様なエネルギーを供する分野に、事業の裾野をさらに広げていくことが我々の進むべき方向だ。
今後は一段と縮むペースが早まるという見方はあっても、ガソリン550億㍑、灯油160億㍑、軽油340億㍑という国内SS市場は、依然として巨大だ。単価165円、105円、145円では、実に15・4兆円という市場を石油販売業者が担っている。我々は計1050億㍑の市場から、お客様の理解を得ながら、あと㍑1円多くの粗利を我々SSに頂けるよう、本気になって再考すべき時にいる。