2014.05.02 のニュース
高度化法の告示案は次回で審議-各社の意見を聴取、調整を図る-
エネルギー供給高度化法の次期告示(案)提示は、次回に持ち越しとなった。総合資源エネルギー調査会石油・天然ガス小委は28日に開催されたが、前回(3月28日)での委員・オブザーバーからの意見が報告されるにとどまった。当初は告示案を提示して審議する予定であったが、石油各社からの意見を聞くなど時間もかかり、告示案をとりまとめるに至らなかった。
次期告示の改正のための基本的な方向性は①装備率の定義の見直し、②改善目標の設定、③取組み期間は3年後の2017年3月末、とすることが提示されている。この方向性について、各社から意見を聴取しているが、装備率の定義の見直しには反対との意見もある。分子となる重質油分解装置についてFCCなどを含めることで拡大するが、それらの装置をどの程度認めるかによって各社間に有利・不利が生じるため、意見も分かれている。今後、事務局が告示案をまとめ、次回には提示して審議、その後に告示案に対してパブリックコメントを求めたうえで正式に決める。今回は各社と十分に議論すべきとの要請もあり、調整には時間をかけている。
前回提示された基本的な方向性のなかで、装備率の定義の見直しとしては、分子である重質油分解装置の定義において、現行では残油から直接分解するRFCC、コーカー、H‐オイルと設備を特定しているが、これを見直して脱硫装置、FCC、水素化製造装置など、いわゆる2次装置まで拡大する案となっている。これらの装置は白油化に対応する装置であり、分子にカウントすべきとの意見は以前からあった。しかし、保有している装置によっては装備率が大幅に高くなるなど、各社ごとに差が生じてくる。
また、分母対応のトッパー能力の削減については廃棄を原則としていたが、トッパー1基の製油所では廃棄することはできず、「公称能力削減」を認めることにした。トッパー能力はそのままにして、減産で対応することで、処理能力の削減と同じ効果を見込むものである。原油処理量を観察することで減産を確認することになる。
委員からの主な意見は、制度全体については①実効性を担保する意味でも意見を集大成して、一定の納得感を得られるようにする、②前回「誘導」よりも「規制」が強かったが、個社の長期戦略に合わせながら誘導の面を出していくべきである。
定義の見直しでは、①定義の見直し、改善目標、起算点(17年3月末)の3点は一体として検討すべきであり、内容を明確にした上で、各社と十分議論すべきである、②その場合にも、複数企業連携への評価、石油業間の連携、輸出力の強化の取組みを可能な限り工夫して入れるべきである。③安定供給の側面もあるが、国際競争力を向上して海外に打って出るための事業基盤の安定を勘案すべきである。
その他意見としては、①エネルギーセキュリティの観点から消費地精製主義を守るというトーンを出すべきだ、②国内市場が縮小する中で供給力も縮小していく方針だと、国際競争力の強化と海外進出に繋がらないのではないか、③需給がアンバランスで業転玉が多く出回っている、などの意見も出ている。