日刊ニュース

2014.05.08 のニュース

流通証明書の実効性に注目

 「次々に地域から撤退していくSSをどうしたら残せるのか」「SSが安定した経営基盤を確立し、安心して次の世代に経営を引き継ぐにはどうしたらいいのか」。野田毅会長をはじめとする石油流通問題議員連盟のメンバー議員が、販売業界から繰り返しヒアリングし、議論してたどり着いた答えが系列玉と業転玉の価格差の縮小であり、そのツールとしての流通証明書の導入である。
 元売は業転は出していないと言い続けてきた。しかし、自社が生産した製品を系列特約店に卸す一方で、同じように特約契約している商社などにも供給している。その製品は、元売とは面識のないプライベートブランド(PB)業者などに廉価で供給されている。それが業転玉であることはだれもが知っているのに…。
 業転格差の拡大によって、PBのSSは、元売マークを掲げるSSよりもはるかに安い価格で販売し、周辺の系列特約店の経営を追い詰めている。運営効率化などの努力の差では説明できないほどの不透明な価格差である。系列特約店や販売店にとっては、自分たちを苦しめているPBの量販業者に供給しているのが、自分たちの系列元売だったというショッキングな事態も発生する。
 業界からこうした実態を聞くうちに議連内では、「本来、同一品質同一価格が原則。業転という隠れ蓑を使って二重価格が常態化しているのは問題」「元売から小売までの流通ルートをトレースできるようにして、系列玉と業転玉の価格差の違いをまず浮き彫りにし、それが優越的地位の濫用にあたるかどうかを公取委にしっかりと調べてもらうようにすべきだ」などの意見が出された。
 二重価格の問題については公取委も「通常より高い価格を一定の特約店に押し付けている場合は、優越的地位の濫用という問題になる。逆に、押し付けるだけでなく、一定の目的のもとに別のところに安く販売している場合は、いわゆる差別対価の問題という、二つの切り口がある」と所見を述べている。
 こうした議論が石油製品の流通証明書導入のきっかけになった。エネ庁の導入に向けた指導などもあり、元売各社は4月から運用を開始した。「業転格差の縮小」と「取引の透明化」という当初の目的に沿った効果が出てくるのかどうか。販売業界はこの流通証明書の動向に注目している。

提供元:全国石油商業組合連合会
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