2014.05.12 のニュース
「最後の砦」であるために
大型連休中の5日早朝、関東地域で強い地震が発生した。東京・千代田区では震度5弱を記録、首都圏で17人の重軽傷者が出た。東京23区で震度5弱以上の震度が観測されたのは東日本大震災以来。被害は少なくてすんだが、あの時の記憶が蘇ったのだろう。地震関連報道の中には、改めて災害対策グッズを求める人たちが増えたというニュースもあった。
大震災から3年が過ぎた。大地震に加え東北から関東にかけ太平洋岸を広く襲った大津波、さらにはいまでも収拾に向けた対策が続く原発事故など、あまりにも大きな被害と深刻な課題によって、多くの人々がその生々しい記憶をいまだ忘れないでいる。その大震災時にガソリン、軽油、灯油が緊急時の必需品として改めて見直され、地域に分散するSSも公共インフラとしてその重要性が認識された。大震災以降、全国の地方自治体から地元石油組合に災害時協定を求める要請が殺到。現在、都道府県レベルで約9割、市町村単位で300件以上の自治体が地元石油組合との協定締結に至っている。
資源エネルギー庁としても地域における石油サプライチェーンの災害対応能力強化に向けて、自家発電設備や大型化した地下タンクを備えた中核SSの整備、自家発電・大型タンクに加えて配送用ローリーなどを備えた小口燃料配送拠点の整備に取り組んでいる。さらに昨年からは、中核SSを対象に災害対応ガイドラインの研修をはじめ、災害時のSS店頭混乱回避策や自家発電機の操作方法・メンテナンスなどの訓練も始まっている。
自民党の石油流通問題議員連盟でも会合が開催されるたびに「災害時に国民を守るため、地域のSSを残すことが大事」と強力な応援の声が上がっている。国はこうした声を受け、これらの災害対応関連予算だけでなく、具体的に必要不可欠となるSSネットワークの維持・強化に向けて予算措置を講じている。
大震災時にSSは「最後の砦」として可能な限り必死に供給に努めた。その経験は業界全体で情報共有して行かなければならないものである。国の予算措置の継続ももちろんだが、業界内でも常に意識し、いざとなったら可能な限り緊急対応できるよう備えることが公共インフラとしての価値を高めることにもなる。災害はいつ起きるかわからない。心して臨まなければならない。