日刊ニュース

2014.05.12 のニュース

石油・LPG備蓄の引き下げ要請-放出ルールなどの見直しを議論ヘ-

 総合エネ調の石油・天然ガス小委で、新しい備蓄政策として、需要サイドの防衛的備蓄の推進、東アジアでの共同備蓄などが検討されるが、同時に石油・LPガスの備蓄量の見直し(引き下げ)が議論されることになった。
 平成26~30年度の石油需要見通し(電力用C重油を除く)によると、今後5年間で年率1.7%減、約1500万キロリットル(8.4%)減となる。このような需要減が続く状況下で「将来に向けて維持すべき、合理的な石油備蓄量をどのように考えればよいか」と問題提起されている。需要が減少しているため、これに呼応して備蓄量を減らしてもよいのではないかとの見直し論が出ている。
 石油の備蓄は、国家備蓄が原油で4911万キロリットル、製品で130万キロリットルを保有(2月末)しており、IEA基準で91日分、日本の備蓄法で109日分となる。いわゆる国家備蓄5000万キロリットル体制が97年に達成されている。さらに緊急時など放出が簡単である製品備蓄が国備として実施となった。
 民間備蓄は原油で1886万キロリットル、製品備蓄で1753万キロリットルを保有しており、IEA基準で71日分、備蓄法で82日分となっている。双方計では約190日分となっている。需要が減少すると1日の基準備蓄量が減少するため、備蓄数量が同じであると備蓄日数は増加することになる。民間備薔の義務日数は、90日であったが、国備の積み増しが達成されたのを機に93年には70日分に引き下げられた。しかし、実際の民備は義務日数(70日分)を大幅に上回っている。
 また、備畜石油の放出ルール(備蓄法)では、当初は「海外からの石油輸入が不足して我が国の石油の供給に不足のおそれがある場合」と、海外での戦争、紛争などで原油の輸入が途絶した場合に限定していたが、法改正して国内の災害の発生時にも放出(備蓄の譲り渡し、貸付け)ができることになった。
 政府が過去において、備蓄石油の放出を実施したケースは5回あったが、いずれも民間備蓄の義務日数の引き下げで対応しており、国備の緊急放出を行なっていない。東日本大震災でも、民備を放出(義務日数の引き下げ)したことで対応した。国備は原油で保有しているため緊急時に原油を放出しても、精製して製品にするには時間がかかり、供給に間に合わないとの指摘もある。
 また、緊急時における需給を管理するための「需給適正化法」の具体的な実施策も検討することになる。
この法律は、第一次オイルショック時に制定されたが、この法律に基づく対策はこれまで実施されたことはない。需給適正化法の発動は「石油供給に“大幅な”不足のおそれ」がある場合に限られるため、「不足のおそれ」がある場合に発動できる石油備蓄法よりも限定的である。
 一方、LPガスについては、国備150万トン(40日分)の基地が完成、現在ガスイン中である。民備は約177万トンで50日分(法定備蓄量)プラス商業在庫8日分を保有している。需要見通しでは今後5年間で年率0.9%の微増を見込んでいるが、太宗を占める家庭業務用は減少している。LPガスについても、国備基地の完成を機に民間蓄量の引き下げ要請が事業者から出ている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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