2014.05.14 のニュース
原油連動は業界の幸となるか
ガソリン系列卸価格の4月の月次変動は、JX2・6円高、出光0・9円高、昭シ2・1円高とアナウンスされた。2月の高低差3・2円、3月の1・9円差よりは、まだましではあるが、4月も1・7円の系列間格差が生じた。ちなみに、財務省による4月中旬までの原油CIFは前月比で0・2円安となっているから、新年度スタートの4月の系列卸は、原油コストとの連動性は全く見られない。海上2・3円高に石油石炭税増税を加味したのがJX、陸上1・7円高に石石増税を加味したのが昭シに近い数値となる。
元売各社は従来よりも原油連動を強く反映させる新たな仕切りフォーミュラを実施または実施を予定しているようだが、我々、日本の石油業界は、さらには系列SSは、これで本当に良いのだろうか。
原油連動の良い点は、だれもがわかりやすい、説得力がある、予見可能である、などの点であろう。古くは湾岸戦争の渦中に原油の急騰が起こり、「上がった際は上げる、下がった際は下げる」という理論武装で、前月の原油コスト変動を、ほぼそのまま翌月の卸価格に反映させる時代があった。いわるゆ月決め方式であるが、これと並行して特関法廃止によるガソリン独歩高の修正、V指数など損益分岐点指数の導入やセルフ解禁による廉売誘発によって、一定の精製元売の粗利をベースとしたこの方式は徐々に形骸化した。
仕切りは水面下に潜航した外観を呈して、不透明、不公平という声がSSサイドから頻繁に起こり、原油が初めて100㌦を超えるなど、暴騰する局面を経て、08年10月から週決めが業界標準となった。業転連動、先物連動、CIF連動に加え、系列が業転よりも割安になるケースも出るなど、系列SSにとっては、最も透明かつ公平に近づいた時代となった。ところが、わずか4ヵ月で150㌦から30㌦に暴落した原油相場など、元売収益の大幅毀損が予見されて、導入直後から修正が相次いだ。まず適用曜日が変更され、次いで系列コストが加算された。
高度化法の満期到来により、需給は幾分締まった外観だが、これが長続きしないのは確実だ。供給過剰、さらにはアジア市況をも意識した仕切りフォーミュラを構築するすべはないのだろうか。改善は良いことだが、すでに見えている反動要因を見ようとせず、自己都合を前面に出した単なる改定は好ましくない。