2014.05.27 のニュース
全石連事業計画 公正で公平な取引環境の実現-議員立法での法案成立を後押し-
全石連は6月12日に郡山で通常総会を開催するが、26年度の事業計画案が決まった。郡山総会は本来は23年6月に開催予定であったが、3.11の東日本大震災の発生で繰り延べとなっていたものである。
事業計画ではスローガンとして、①市場の変化に対応したSS経営に取り組もう(経営健全化)、②公正で公平な取引環境の実現を目指そう(市場環境の整備)、③安心安全のための供給ネットワークを強化しよう(災害対応・過疎化対応)、を掲げている。
経営改善の推進では、人口の減少、高価格による節約志向、省燃費車の普及でガソリンの販売が減少、さらに、業転価格の低迷による経営の悪化でSS数が減少する状況下で、市場環境の整備に努めるが、経営改善策としては、TBAの販売のみならず、洗車、車検・車販売事業の導入、レンタカーの導入、灯油などの配送など、ガソリン、軽油依存からの脱却を図り、生き残りをかけた取り組みをサポートする。
業転価格と仕切価格との格差が拡大しており、高い系列玉を仕入れざるを得ない地場の中小業者が廃業・撤退に追い込まれている。この業転問題は、自民党「石油流通問題議連」(25年3月に発足)で集中的に議論された。その結果、公取委からは「系列特約店との間で一定のルールを策定する」との要請が出され、エネ庁からは「流通証明書を添付する」との通達が出されたが、取引改善の動きが見られなかった。そのため議連から「揮発油の適正化に関する法律案」(議員立法によるたたき台)が提示された。たたき台をベースに、早期成立を目指して後押しする。だが、法律となるとかなりの時間がかかるものとみられ、さらに元売サイドは法制化には反対の立場にあるため対立している。
石油業界での調整が難航しているため、エネ庁、公取委が仲に入り、全石連と元売各社で協議会を設置、初会合を15日に開催しており、月1回ペースで開き、意見交換することになっている。業転問題の調整は難しいとみられるが、元売サイドでは、6月からコスト(原油価格)連動による新体系を実施する方向となってきた。この方針が定着することで、業転と仕切価格との価格差が縮小されれば、業転問題は解決することになる。だが、新体系の実態は明らかになっていないため、効果のほどは不透明である。双方の話し合いで詰めることが難しいとなれば決着するまで時間がかかりそうであり、議員立法での対応となるのか、落とし所は見えてこない。当初は総会の場で決着を期待するムードもあったが、長期戦となりそうである。
災害対応・過疎化対応の推進では、東日本大震災から3年経過したが、豪雪・豪雨が頻発しており、引き続き大規模災害時の石油製品の供給体制確保が問題となっている。一方、SS数はピーク時の6万ヵ所から40%減の3万6000ヵ所となっており、中にはSSが存在しない自治体も出現している。エネルギー基本計画でも、石油は災害時には代替エネルギーとして重大な役割を果たすと位置付けられ、平時・緊急時を問わず強靭な供給体制の構築が求められている。そのためには、国・自治体・元売との一体型の緊急時情報ネットワークも構築が求められている。