2014.05.28 のニュース
新体系移行に向け環境整う 需給タイト、業転も値上がり気味
元売は6月から仕切価格の改定方式を新体系へと移行するが、価格のベースは底上げされると予想されている。実質値上がりとなるため、販売業者は元売の方針を見極めて対応策の検討に入るが、足元は様子眺めとなっている。
新体系の導入は、現行の業転リンクの仕切価格体系では元売の赤字が続くことになり、赤字の解消を狙ってコスト(原油価格)リンクに変更するものである。元売各社の石油事業の3月期決算をみると、石油製品のマージンが減少したため大幅な赤字となっている。2年連続して赤字にすることはできず、黒字転換するための仕切価格の体系変更である。 新体系の具体的な方針の出方を待っている状況にあるが、その実施策としては、6月入りで直ちに仕切価格を値上げするのか、当分の間、様子を見ながら徐々に仕切価格を値上げするのか、値下がり局面まで待って、その時点で市況を維持しながら値取りするのか、など様々な対応が予想される。
コスト連動方式への変更に際して、仕切価格の値上げとなれば、販売業者も即、対応するが、その時点で業転が値上がりしていることを条件に求めている。6月時点での原油価格(コスト)の動向を見極めながらの対応となるが、元売の方針が出れば、直ちにユーザー転嫁に取り組むことになり、準備に入っている。
新体系に移行することは、現行の業転リンクから、コスト(原油価格)リンクに変更することになるが、業転が値上がりして仕切価格との間の価格差が縮小していることがポイントとなる。新体系では、コストの変動を指標として採用するため、業転を指標としないことになるが、業転市場は依然として存在するため無視はできない。安い業転は参考としないとしても、業転安が存在すれば価格差問題が再燃することになる。
新体系に移行して、業転安が解消され価格差が縮小されれば、業転問題が解決することになり、一石二鳥ということになる。一気に業転問題が解決することにはならないが、新体系に移行して価格差が是正されれば、自然と消えることになる。逆に、新体系の理論・内容をいくら丁寧に説明しても、業転との価格差が存在すれば、販売業者、ユーザーからは反発が出る。現在、議論となっている業転問題は、元売と販売業者間で延長戦となっているが、さらに続くことになる。新体系が浸透して業転と仕切価格との価格差が縮小すれば、業転問題の解決にも通じることになる。
そのためには、新体系に移行する時点で需給がタイトになることが不可欠となる。業転が値上がりして、新体系の仕切価格との価格差が縮小されることが前提条件となるが、足元の業転も値上がりしているため、環境は整備されていることになる。
一方、設備処理が終り、トッパー能力は395万バーレル/日に削減されており、稼働率はアップしてきた。加えて製油所が定期修理となっているため、需給は短期間に締まるものとみられる。そのため、減販が続いても需給はタイトが見込まれるため、新体系への移行のチャンスとなる。だか、予想外の減販の状況下であり、トッパーを削減してもガソリンは増産となり、需給は緩和するとの否定的な見方も残っている。