日刊ニュース

2014.06.02 のニュース

エネルギー基本計画と水素

 新・エネルギー基本計画は「“水素社会”についての包括的な検討を進める時期に差しかかっている」とし、電気・熱とともに水素が2次エネルギーの中心的役割を担うことに期待を寄せた。安全性を前提に、技術やコストなどの課題を克服し、実現可能性の高い技術から社会に実装していくため、戦略的に制度やインフラ整備を進める方向性が打ち出された。また、徹底的な省エネ社会の実現に向け、新車販売に占める次世代車シェアを30年までに5~7割とすることを目指し、燃料電池車(FCV)関連では「規制見直し」や「官民の適切な費用負担」などにより水素ステーション整備を進めるとしている。そして、本格的な利活用に向けては、現在の石油製品供給体制に相当する「社会構造の変化を伴うような大規模な体制整備が必要」と強調した。
 次世代車の主力は当面HV・PHV・EVと目され、FCVはトヨタとホンダが来年からの市販開始を予定しているが、本格普及はさらに先と見る向きが多い。そんな折、ターニングポイントが出現した。20年東京オリンピック・パラリンピックだ。半世紀前の東京五輪を機に日本経済が飛躍したように、水素社会を具現化させ、世界をリードしようとの機運が盛り上がり始めた。
 経産省は昨年末に水素・燃料電池戦略協議会を立ち上げたが、東京都も「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」を発足。いずれも自動車やエネルギーを中心とするメンバー構成だが、都戦略会議には東京石商が名を連ねた。モータリゼーションの進展に合わせ、SS網を通じ、燃料とサービスを提供し続けている販売業界が積み重ねてきた経験や教訓も踏まえながら、水素供給のあり方を探る意味は大きい。
 同会議は20年オリンピックにとどまらず、30年までを見据え官民連携によって水素普及戦略の共有と機運の醸成を図る。意見交換では早速、FCV・水素ステーション・水素の各コストを大幅に削減することが不可欠との認識が示された。都は首都圏9都県市首脳会議にも働きかけ、国に対して積極的な取り組みを促し、ステーション整備の初期投資に限らず、運営費も支援策を講じるよう求めている。
 石油+油外+水素の可能性。どんなエネルギーでも補給は馴染みのSSで。消費者にそう思われ、それに応え得る存在であり続けたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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