2014.06.02 のニュース
告示改正は時間をかけて調整-設備処理枠を想定して新定義を示す-
第二次エネルギー高度化法の告示改正の議論は、エネ庁が石油各社から意見を聴取するなど調整が行なわれているが、告示改正案の提示は、石油・天然ガス小委での議論の終盤となりそうである。小委では石油流通問題、備蓄対策、供給体制の強化、石油開発など、エネルギー基本計画を深堀りするため多岐にわたっている。そのため告示改正案の提示には時間がかかりそうである。
第一回目は2月25日に開催され、設備処理は引き続き告示の改正で実施するとの方向が決まった。第二回(3月28日)では告示改正の基本的な方向性が提示され、①装備率の向上の定義を見直す、②「分母」、「分子」対応の方式を見直す、③装備率の改善目標を設定する、④取り組み期間は17年3月末までとする、などを決めた。その後は、早い時期に結論が出るのではないかとの見方もあったが、各社から意見を聞くことになり、定義の見直しに反対する会社も出た。現在の2次装置(FCCなど)の装備状況によっては有利、不利が生じるため、調整には時間がかかっているようである。そのため定義の見直しとなる具体的な基準案は、設備処理枠を想定して提示されることになる。
前回の第一次告示による設備処理については、説明不足との指摘もあり、設備処理の対象として「停止していた設備」をカウントするなどの対応ができたケースもあり、不公平との不満も残った。第二次は、新ルールでの本格的な設備処理となり、各社の対応も厳しくなるため理論武装が求められている。
国内需要の減少が予測されており、あと一段の設備処理が必要となるとの合意が石油業界で形成されている。そのため①設備処理によって効率化を求め、競争力強化を狙うべきである、②供給不足の場合には輸入で対応し、稼働率の向上を優先することで収益を確保できる体制とすべきである、③供給増による市況の下落を避けるべきである、などの設備処理を肯定する意見が出ている。
一方、慎重論としては①緊急時、災害時、事故などを見込み、設備はある程度の余力を持つべきであり、効率化を求めて常にフル稼働にするのは問題である、②自由化時代であり、法律で設備廃棄を求めるのは問題である、③設備は財産であり、廃棄することは損失を被ることになる、④製油所の廃棄となると雇用、地元経済にも大きく影響する、などの反論も前回と同様に出ている。これらの議論は当初から予想されたものであり、現実を直視した対応策が打ち出されるものとみられる。
さらに、供給増となれば製品輸出、石油化学製品の生産にシフトしても対応可能であるとの意見もある。現に製品輸出はジェット燃料、軽油が好調である。だが、輸出は海外市況、為替に左右され、大半がスポット契約であるため不安定である。海外市況が下落すれば日本が割高となり、逆に輸入することになる。
石化製品も海外市況次第であり、今までは好調であったが今後は減益が見込まれている。過去の例からみても好調は長続きせず、周期的に不況が訪れるようなリスクが伴う。最近は好調が続き石油事業の赤字をカバーしているが、今年度の見通しではすでに陰りも出てくるなど、輸出への依存は裏目に出ることもある。