2014.06.03 のニュース
新体系コスト連動で健全な市場を 業転との価格差問題の解決を期待
元売サイドは、新しい仕切価格体系を現行の市況連動(業転)からコスト変動方式へと変更して、健全な市場形成を図る。木村・JXエネルギー会長も「市況イコールコストである」と述べており、コスト(原油価格十経費)を無視した市況はあり得ず、コストを反映させた市場を目指すことになる。
市況は需給で決まるとされているが、石油の場合は安定供給が使命となっているため需給をタイトにするには限界もあり、結局は過去に実施していた月決めのコスト連動方式を週決めに変更して元に戻ることになる。市況連動方式が見直しとなったのは、高度化法による設備処理を終えるのを前にして、昨年夏ごろからガソリンは供給増となり、市況が低迷してマージンが低下、元売の業績は下期から赤字となり、とくに1~3月期決算が大幅な赤字となったためである。
販売業者も、需給バランスの崩れから業転市況が下落したため、仕切価格との価格差が拡大することになり、マージンが確保できずに経営難となった。そのため業転との価格差の是正、ブランド料の引き下げ要請が出るなど、元売との対立を強めている。現在も公正な取引きを目指して、法律(議員立法)による秩序の回復を図る運動を展開している。議員立法となると調整に時間がかかるのと、法の公正さからも、どこまで規制ができるのか、プラス面もあるが、マイナス面もあり、その内容(条文)にまで至っていない。本題は業転との価格差問題であるため、新体系の移行で業転と仕切価格との価格差が是正されれば、全石連の要望が受け入れられることになり、業転問題の解決となる期待感もある。
コスト連動方式は、08年10月から実施された市況(業転)連動方式の前には月決め制で実施されていた。1ヵ月遅れでコストを反映させた仕切価格の改定では、月末にはコスト変動が見込まれるため、その時点で値上がりが見込まれれば仮需要が発生、値下がりが見込まれると買い控えが発生するため、元売が不利となる。そのため即、市況に連動できるよう週決めに変更したもの。週単位となっても仮需要などは発生するが、ある程度は止むを得ないところである。
市況(業転)連動方式では、業転市況にコスト(ブランド料など2~3円/リットル、運賃)を加算して、ボリュームディスカウントは1円50銭程度に縮小、大手と中小規模との業者間の価格差が縮小されたことで「公正で透明な体系である」として中小の販売業者からは歓迎された。元売も需給をタイトにして、業転市況を引き上げることでマージンを確保できると期待していたが、この体系の実施と同時に不運にも原油価格が急落、国内のガソリン市況も185円の高値から一気に100円に急落して大混乱となった。結局、元売は国内市況の急落を受けて赤字となった。そのため10年10月から赤字解消を狙ってブランド料を4~5円に値上げして対応、業績を回復した。
だが、その後は業転が下落したため、系列仕切価格との価格差が7~8円と拡大することになり、販売業者から「業転の値上げか仕切価格を値下げすべき」との要請が出ているもので、新体系への移行を機に価格差の是正が期待されている。