2014.06.05 のニュース
新体系、元売の次回方針を待つ-コスト転嫁による高値を警戒-
6月から仕切価格の改定方式がコスト(原油価格)連動の新体系に移行、ガソリンの仕切価格は1日から4日まで1円80銭/リットル(JX)値上がりとなった。だが、販売業者サイドは、次回の方針をみて対応を決めることになりそうである。
今までの市況(業転)連動からコスト連動に変更することで、スタート時の仕切価格そのものが値上がりすることになるが、どの程度に落ち着くのか見定めることになる。その後はコストとなる原油価格、為替の変動幅を軸に仕切価格を改定することになる。
6月スタート直後であるため販売業者サイドでは「新体系に移行する直前の5月末で3円80銭を値下げして、同時に6月で1円80銭の値上げを一括して実施したが、この方針は予想外である」と戸惑いをみせている。さらに「実施したコスト変動方式の内容が不透明なところもあり、次回の改定を見ないと元売の方針が読めない」としている。そのためユーザー転嫁については、次回の方針をみて対応することになっている。
最近の原油価格(ドバイ)は105~106ドル/バーレル、為替は102円/ドル程度で安定しており、東商取の先物原油は6万7000円~6万8000円/キロリットルで推移している。海外のウクライナ情勢も小康状態にあり、米国の経済指標、株価なども安定しているため、大きく変動することはないようである。
国内需給は不需要期であるが、高度化法による設備処理が3月末で完了したのと、製油所の定期修理時期のため需給は安定しており、業転市況も比較的堅調で推移している。5月のガソリン仕切価格は、加重平均では出光が1円、JXが2円20銭の各値上げ、4月はJXが2円60銭、出光が90銭の値上げとなり、JXの値上げ幅が大きく、5月末で調整値下げとなったとの見方もある。
仕切価格は、値上がりしながら安定して推移しており、コスト変動方式への移行にもタイミングの良い状況にある。一方、末端市況は、石油情報センターの調査価格(26日)は全国平均166円となり、小幅であるが5週連続の値上がりとなり、4月下旬からみると2円の値上がりとなった。4月1日から消費税の増税(5円)で164円と一気に値上がりしたが、仕切価格は4月、5月で値上がりしたため、ユーザー転嫁は未達となっている。だが、末端市況は一部で下落傾向をみせている。
元売は3月期決算が赤字となり、その解消を狙ってコスト変動方式に変更したもので、黒字転換の最良の方策として成果を期待している。コストを割って販売することはなく、適正マージンの確保を狙う。
足元ではガソリンが値上がり、元売のマージンは回復しつつある。ただ、ガソリンの販売減は続き、消費税の増税で160円台の高値となったうえに、コスト変動方式に移行したことでさらに値上がりすると、減販に拍車がかかると懸念されている。ガソリンの3月販売は4月の増税前の仮需要で495万キロリットルで8.5%の増となったが、4月はその反動で403万キロリットルで8.8%の減となった。伸び率でみれば相殺されているが、5月は3%程度の減となっている。今後の夏場商戦に期待をかけてはいるが、高値による節約が気になるところである。