2014.06.19 のニュース
在庫減少も業転は下落-新体系への移行で状況変化を見込む-
ガソリン在庫は低位で推移しているが、業転市況が下落するなど需給が反映されない状況が続いている。だが、設備処理も3月末で完了し、新体系に移行しているため今後は在庫水準と需給との関係が正常に機能することになるとの見方もある。
足元の在庫は190万キロリットル台の低位にあり前年に比べると約25万キロリットル減となっている。昨年末には、180万キロリットルという低水準となったが、業転市況は値上がりせず、逆に値下がりする異常な状況が続いた。このように在庫減と業転との関連性は薄れており、これが市況対策を一段と難しくしている。
その結果、元売の3月決算が赤字となったため、その打開策として仕切価格を原油コスト連動方式に移行した。今までの市況(業転)連動方式では、原油が値上がりしても、国内需給が緩和していると業転市況は値上がりするどころか、逆に値下がりすることもあり、原油代のコストすら回収できなくなり赤字となった。以前は減産して在庫が減少すると業転が値上がりして、市況対策が軌道に乗り、マージンが確保できるパターンとなったが、最近では、在庫が減少しても業転が値上がりせず、需給調整の効果が見込まれなくなっている。
その要因は①減産してもそれ以上に減販となり、需給タイトの実感が伝わらなくなってきた。②昨年までは設備が過剰であり、常に供給過剰であったため、低在庫になっても供給不足となる心配がないという安心感があった、③低在庫で推移しても安定供給が確保されることが定着している、などの点があげられる。
そのため「業転安の系列仕切高」の体系は、長期にわたって続くことになり、系列販売業者からの反発が出た。これが業転問題となり「業転と仕切価格との価格差を是正すべきであり、これが不可能であるならば業転の購入(特約契約では禁止)を自由に認めるべきである」との要請が系列販売業者から出ている。
しかし、3月末で設備処理が完了したことで供給過剰が解消され、需給がタイトになるため、業転との価格差問題が是正されるのとの期待が強まっている。
ここにきてイラクの政情不安で原油価格が上昇しており、新体系による原油コスト連動方式に変更したこともあり、元売各社の仕切価格の改定が注目されている。今までは市況(業転)連動で仕切価格を改定していたため、原油価格の変動が即業転市況に連動しなかったが、今回、原油価格の上昇に連動して、業転、仕切価格も値上がりすることになる。
原油コスト連動方式に移行したことで、原油高騰を理由に仕切価格が値上げとなるが、その成果が問われる正念場となってきた。だが、業転の値上がりが遅れると、末端市況は値上げが難しくなるため業転市況の動向を無視することはできない。
原油連動で仕切価格を先行して値上げしても、業転市況が値上がりしなければユーザー転嫁は不発に終わることになる。業転が値上がりしなければ、販売業者から仕切価格の調整(値下げ)を求める声が出てくることになるが、元売サイドは仕切価格の事後調整はしないとの方針を伝えている。ユーザー転嫁を達成するには、同時に業転市況の値上がりが不可決となる。