日刊ニュース

2014.06.23 のニュース

収益重視の実証に踏み出すべき

 来週24日のコスモを皮切りに、26日にJXホールディングスと出光。上場3月期決算元売3社グループの株主総会が開かれる。
 アベノミクスを背景に、円安の恩恵を受けた輸出型企業を中心に好業績の企業が続出、株主に還元する配当金を増やす動きが相次ぐ見通しだ。大手証券によると、すでに3月期決算を発表した東証1部上場企業のうち、株主への配当を前期よりも増やす増配、または復配を発表した企業は全体の過半数を超えるという。そんな中での元売3社の決算は、残念ながらアベノミクスの蚊帳の外、というよりも、その反作用による円安で生じた原油コスト高の転嫁不足を主因として、在庫要因を除けば実質赤字という厳しい状況にある。好業績の企業群とは対照的に、深海へ沈没した業績にある石油に対して、厳しい株主からの声が続出する可能性が高い。
 そうした場で経営陣に要求されるのは、今期を含めた収益良化への道筋をきちんと示すことにある。その事業計画と、それを付託された取締役が信任され、今年度の事業活動が本稼働に入る。
 事業計画では、縮んでいく内需に対する処方箋が求められることは必至であろう。稼働率を最適化し輸出の比重を高めるという共通の良化計画は当然だが、ポスト高度化法対応に加えて、供給過剰設備を抱える産業の事業再編を促す「産業競争力強化法」に対する対応も質されるだろう。京葉に続くエリアと目されている京浜、四日市、阪神には、この3元売はいずれも製油所を有しているから、いきなり元売再編スイッチがオンとなる可能性もある。
 コスト競争力を高めることが要求される精製部門の事業再構築とは別に、すでに3元売ともに販売部門のトップが交代する人事も内定している。3トップに求められるのは、国内販売部門について、原油コストの乱高下にも耐え得る安定した収益基盤を構築することに尽きるだろう。
 その尖兵に位置付けられる販売子会社は、3元売ともに国内最大かつ最高のSSネットーワークを有している。このSSの単位粗利を㍑1円多くすることに全力を傾注し、優秀SS表彰基準を粗利益率に重きを置くことで、系列SSのトレンドは大きく転換する可能性がある。その実証実験に踏み出すことで、我々は収益V字回復を期す元売の本気度を推し量ることになる。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE