日刊ニュース

2014.06.25 のニュース

減産対応で新体系の定着狙う-設備処理完了で需給調整の効果を期待-

 石油製品の減販が続いており、各社は減産対応で臨んでいる。減産での需給安定化による適正マージンの確保を図り、赤字からの回復を狙うとともに、6月から実施の原油コスト連動方式による新体系の定着を目指している。設備処理が完了したため各社の減産対応、低在庫が需給に反映して、新体系が浸透して値取りが達成されるものと期待している。
 JXは6月の原油処理を411万キロリットルで前年比18%の大幅減産で対応する。これは3製油所(鹿島、大分、水島)が定期修理となるためである。出光は7~9月の原油処理を685万キロリットルで前年比3%の減産、4~6月も2%減産で対応している。
 足元の原油処理をみると、石連週報(8日~14日)では291万キロリットルで前週比7万キロリットルの減産となっている。トッパーの設計能力は395万バーレル/日あるが、定期修理が約106万バーレル/日あり、これを相殺すると実稼働能力は289万バーレル/日となり、実稼働比率は90.6%という高稼働となる。だが、設計能力稼働率では66.4%(前週は68%)という低稼働である。定期修理の最盛期であるため原油処理量は約262万バーレル/日(平成25年度平均は350万バーレル/日)となり、大幅な減産となる。例年6月は不需要期での減販と定期修理時期であるため減産となるが、今年は大幅な販売減となっていることで、より減産対応となっている。
 石連週報のガソリンの在庫(14日)は194万キロリットルとなり、前週に比べると1万キロリットルの増であるが、前年に比べると29万キロリットルの減となっている。8日~14日の1週間の生産は91万キロリットルで前週比では1万キロリットルの増となっているが、出荷(販売)は89万キロリットル(前週は97万キロ)と90万キロリットルを割り込み低調である。1週間の出荷では100万キロリットル割れの低調が続いているが、90万キロリットル割れの減販という深刻な数字が示されており、7~8月の増販期待に水を差すとの心配も出ている。
 灯油も1週間の出荷は8万キロリットルで前週に比べて5万キロリットルの減(40%減)となっている。不需要期である
が大幅な減販となり、在庫も150万キロリットルで前年に比べると30万キロリットル減という低位である。軽油在庫も161万キロリットルで前年比では18万キロリットル減という低位である。
 このように減販に対応して、在庫は前年に比べると低位で推移している。前年に比べるとガソリンなどは30万キロリットルも低い在庫で推移している。ガソリン在庫は200万キロリットルを割ると供給不足となるとの見方があるが、最近では180万キロリットル(4月初め)を割っても需給が逼迫することはなく、業転市況も値上がりせずに経過するなど様変わりとなっている。
 ガソリン在庫が減少しても業転市況が値下がりするケースもあり、在庫と業転との関連性が実証できなくなってきた。減産して在庫が低位となっても業転市況に影響せず、逆に値下がりすることになれば打つ手がないとの悲観的な見方がでてきた。
 この現象は、設備が過剰であり、減産して在庫が減少しても供給が確保できるとの安心感から減産効果が期待できないことを市場が読み取っていたためで、3月末で設備処理が完了したことから状況が変化する。今後は減産、在庫減が需給に影響を与えるものとみられ、新体系の定着に繋がることが期待される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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