日刊ニュース

2014.06.26 のニュース

原油コス卜連動方式を実証へ-元売、仕切値上げの完達を狙う-

 原油価格は、イラク情勢が緊迫化したことで高騰している。WTIは106~107ドル/バーレル、ドバイが111ドル、ブレントが114~115ドルで推移しており、6月初めに比べると約5ドルの値上がりとなっている。ドバイではリットル換算では70円台に乗せる高値となっている。
 原油高を受けて、元売サイドでは6月から市況(業転)連動から原油コスト連動方式による新体系に変更して仕切価格の改定を実施することになっており、ユーザー転嫁が浸透するか否かの試金石となっている。新体系に移行した前週では、ガソリン仕切価格の1円/リットル値上げを実施している。だが、販売業者サイドは、今週に仕切価格の値上がりが見込まれるため、これを待ってユーザー転嫁に取り組む方針である。仕切価格は前週と今週分の値上がりを加算したものとなり、ユーザー転嫁は3~4円と大幅になりそうである。
 新体系は、原油価格の値上がり分のコスト増を直ちに転嫁する方式に変更したものであるが、ここにきて原油価格が値上がり、タイミングが一致した。新体系は、原油価格の変動幅(値上がり分)が重点となるが、その他、海外製品市況、末端市況、他元売の動向などを総合的に判断して打ち出すことになる。だが、総合的な判断が加味されると様々な要因が重なるため、価格改定の根拠が不透明になると危惧する向きもある。よって今週の値上げ幅がどのような額になるのかがポイントとなる。
 新体系に対する元売の方針は、赤字傾向からの脱却であり、原油コス卜の増加分を完全に転嫁することを目標としており、今後の安定供給を確保するため完全値取りすることを不退転で臨むとしている。そのためユーザー転嫁が行なわれるが、完達には業転市況の値上がりが不可決となるため、今後の業転、先物市況の動向が注目される。先物はガソリンが87円/リットル台、原油価格(中東物)は69円に値上がりしている。
 今後の原油価格の動向が注目されるが、見通しは難しい。木村石油連盟会長は「先月はドバイで105ドル/バーレル程度で推移するとみていたが、イラク情勢によって急変して高騰してきた。コスト増は消費者の皆さんに広く、薄く、転嫁をお願いすることになる。安定供給を確保するためには、止むを得ないことである」と述べている。
 原油価格の見通しとなると、WTIは、アメリカの国内の経済指標、株価の動向、石油在庫などが影響して値動きする。しかし、ブレント、ドバイは中東情勢など海外の動向を反映した値動きをみせている。最近ではウクライナ、リビアの情勢が緊迫化して原油価格を引き上げたが、これが落ち着くと値下がり基調となった。それでも100ドル台の高値相場を維持していたが、ここにきてイラク情勢の緊迫化で急騰してきた。
 以前は、WTIが原油価格の指標となっていたが、最近ではブレントが指標の役割を果たしており、これにドバイが連動する形となっている。国内の原油輸入は80%以上が中東産に依存しているため中東産のドバイに連動する。現在、ドバイが110ドル台に上昇、為替が112円/ドルとなっており、円/キロリットル換算では7
万円/キロリットル(70円/リットル)以上となってきた。TOCOMの原油先物(中東物)は69円/リットルとなっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE