2014.06.30 のニュース
走行距離を減らさぬために
エネ庁の内需見通しによると、2018年度のガソリン需要は5063万㌔㍑。13年度比で9%減、500万㌔㍑弱の減少になる。減販の主因は燃費向上で、走行距離はほぼ横ばい推移という前提だ。
ところで、走行距離に貢献したとみられる高速料金の地方部休日5割引が今月末で終わり、7月からは3割引へと縮小される。高速道路の利用率に影響しないか気がかりだ。あす、あさってが最後の5割引となるから、ここは積極的にアピールしたらいかがだろう。そもそも、高速料金の大型割引制度は、リーマンショック後の経済危機対策として09年3月末からの「地方部休日上限1000円」に端を発し、段階的に割引制度が縮小されてきた。
今年4月以降は、地方部の平日昼間割引や通勤割引、東京・大阪近郊の早朝夜間割引が終了し、深夜割引は20~24時、4~6時だったものが0~4時の3割引に変更されたほか、地方部の通勤割引に代わる平日朝夕割引はETCマイレージサービスの登録が前提だ。これらの割引制度はETC利用が条件となっている。
高速割引の縮小はクルマ利用の促進に水を差しかねず、ガソリン高が追い打ちをかける暗雲が垂れ込めている。先週、観光立国推進閣僚会議が開催されたが、観光立国実現に向けたアクションプランは、20年東京オリンピックに向けて訪日外国人数を昨年比2倍の2000万人とする大目標を掲げたのが主眼で、国内旅行の活性化は後手に回りそうな様相。とはいえ、観光庁が先月発表した12年の日本人国内宿泊旅行消費額は8年ぶりに増加して15・3兆円、日本人国内日帰り旅行は6年連続減で4・4兆円の合計20兆円弱と、全国内旅行消費額の9割を占める。ちなみに、石油精製・元売の年間売上高は26兆円弱だから、旅行産業の巨大さがわかる。また、47兆円の生産波及効果、399万人の雇用誘発効果も見逃せない。
その旅行消費額には交通費も含まれる。ガソリンは高止まりしているが、仮に単価÷燃費=1㌔走行当たり価格を試算した場合、100円÷8㌔と170円÷13・6㌔は各12・5円でイーブンになるから、理屈的にみればユーザー負担は変わらない。繰り返し紹介しているが、国内旅行手段の6割はクルマ移動である。地域経済に利益をもたらす旅行の活性化は、ガソリン需要の押し上げにもつながる。