2014.07.07 のニュース
マージン確保のメッセージを
資源エネルギー庁で行われている総合資源エネルギー調査会の資源・燃料分科会と石油・天然ガス小委員会の6月30日の合同会合では、中間とりまとめ案が示された。
一般紙などが連日報じているように、国内の製油所の供給力を2016年度末までに業界全体で約1割減らすことを義務付ける、いわゆるポスト高度化法の新制度案が示された。需要がさらに減少している中、わが国の石油産業の企業体質を強化するために、国が需給適正化を強く求めていく考え方が示されたものだ。
一方で、石油流通の分野では、災害時に備え、中核SSを活用したエネルギー供給体制の確保や、SS過疎地化への対応、さらには次世代自動車の普及に備えた水素ステーションなどのあり方など、中長期的な検討の必要性なども強調された。これまでのエネ庁や公正取引委員会の指摘などを踏まえ、石油流通市場の公正・透明化に向けた取り組みについても言及している。
しかし、同じようにエネ庁が石油業界の競争力強化についてまとめた06年の石油政策委員会の報告書では、「再投資を可能とする適正なマージンの獲得」と、石油販売業界が本来の利益の出るような競争市場を構築することを支援し、08年にまとめた石油分科会の報告書でも、「必要な再投資の原資を確保することが必要」と指摘した。
災害対応や次世代自動車への対応について、国が予算措置などによって支援することは確かに大事だが、それ以前に、石油流通業を業として本来のマージンの出る商売にしようという考え方が、これらの報告書にはあった。
今回の小委員会に出席している全石連の河本博隆副会長・専務理事も、「このまま流通マージンが確保できず厳しい経営状況が続けば、SS過疎化がますます進む」と危機を訴え、7月2日に行われた石油流通問題議員連盟の幹部との懇談会でも、「流通マージン確保の必要性をもっと強調しないと、外に対する石油業界からのメッセージにはならない」という発言が相次いだ。
今回の報告書でも、石油製品を販売することでマージンが得られる市場構造への転換が大事であることを、ぜひ強調してほしい。そうした業界になるために、国が応援してくれるというメッセージがいま必要なのである。