2014.07.14 のニュース
元売、新体系でマージン増も 販売業者は転嫁が遅れて苦慮
ガソリンは170円/リットル相場となってきた。6月から原油コスト連動方式による新体系での仕切価格の値上げを受けて、ユーザー転嫁が浸透しつつある。石油情報センター調査(7日)によると平均で169円40銭/リットルとなり、前週に比べて1円30銭の値上がりとなった。経産局では近畿、中部が170円、九州が173円で170円台に乗せた。 新体系へ移行後は原油価格が値上がり局面となり、仕切価格も値上げが続いたことで170円相場を狙うことになるが、首都圏の街道沿いのボトム価格(表示価格)は169円か目標となっており、大勢は166~167円か多く、170円はひとつの壁となっている。170円相場となると高値感から減販が見込まれるとみて、販売業者間でのけん制が働いている。
末端市況は値上がりしているが、その中には消費税増税分の5円値上げが含まれている。新体系による値上がり分の転嫁は大幅に遅れており、未転嫁からマージンも減少している。末端市況は値上がり基調にあるため、今後、仕切価格の値上がり分を回収できることが期待されるが、原油、市況の動向によっては微妙となってきた。
原油価格はドバイでみると6月初め105ドル/バーレルであったものが6月末には110ドルに値上がり、連動して仕切価格は値上がりとなった。その結果、ユーザー転嫁が本格化して末端市況の値上がりとなった。だが、足元では107~108ドル/バーレルに値下がりとなっている。そのためか、10日の仕切改定では、出光は据え置き.JXは50銭/リットルの値下げとなっている。新体系に移行して初めての値下がり局面となってきたため、次回の仕切価格の動向が気になるが、販売業者の対応も注目される。ユーザー転嫁の最中であり未達分を残しており、引き続き転嫁を実施するか否かの選択が求められる。
元売としては、新体系は3月期決算の赤字から脱却するための最後の方策として打ち出した方式である。各社の足並みも揃い、定着の方向にありマージン増が見込める状況となってきた。しかし、末端市況は小幅な値上がりが続いているが、販売業者サイドの取組みは大幅に遅れている。そのため6月での転嫁は殆どが未達となっており、6月分の元売の謂求では仕切価格の調整を見込んでいた。しかし請求は満額であり、未達分を抱えることになった販売業者は苦しい立場にある。引き続き末端市況を値上げする方針であるが、ここにきて原油価格が下落気味であり、厳しい状況となりそうである。
新体系への移行、設備処理による需給調整から市場の安定化が期待される状況にある。減産による低在庫が続いており、業転玉の出回りも減少しており需給環境は整備されてきた。そのため元売のマージンは回復しつつある。だが、販売業者によるユーザー転嫁は遅れており、ここで仕切価格の値上がり分を満額転嫁しないと取り残し分か増加する。元売は黒字転換となっても販売業者は赤字となりかねない。
ガソリンの4月の販売は8・8%減、5月も3・8%減となっており、6~7月も減販が見込まれている。ガソリン高による減販が塞等ると、ますますマージン減が重なってSS経営難が続くことになる。