2014.07.15 のニュース
供給責任を全うしていく
資源エネルギー庁がまとめた2011年度の運輸・産業・家庭・業務の4部門ごとのエネルギー源別消費量シェアによると、このうち運輸部門においては、ガソリンが約6割を占めるのを筆頭に、軽油が約3割、ジェット燃料や重油、潤滑油を含め、95%以上を石油製品が占めるという、“石油依存”の実態が浮き彫りになっている。
石油石炭税を原資とするエネルギー対策特別会計で手厚い購入補助が行われている電気自動車(EV)はわずか2%にとどまっている。小型車や軽自動車など低燃費の自動車が急速に普及するなど、ガソリンの需要減が顕在化する中で、石油製品を取り巻く需給環境は厳しさを増しているが、車を動かす動力源は今も“石油”が大勢を占めているのだ。
また、電力供給においても、原発事故前の10年度に62%だった化石燃料依存度は、13年度には88%にまで上昇した。第1次石油危機時の1973年度でも依存度は80%であったことからも、バックアップ電源としていかに石油が重要であるかも明らかになっている。もとを正せばEVを走らせるために充電している電気の大勢は、火力発電所において、石油や天然ガス、石炭を燃やして作られているのだ。
震災による原発事故以降、各地の原発再稼働は遅々として進んでいない。今夏は原発なしで乗り切らなければならないと言われている。今夏も電力の安定供給は、石油など化石燃料に頼らざるを得ない状態だ。
政府が4月に閣議決定した第4次エネルギー基本計画では、「石油は今後とも活用していく重要なエネルギー源」と位置付け、エネルギー供給の“最後の砦”として、製油所からSSに至る供給網の強靭化や石油産業全体の経営基盤強化に向けた取り組みの必要性を提言した。
車を動かす、物を動かす、人を動かす“動力源”となっている石油の安定的な供給が途絶えることはすなわち、日本経済発展の浮沈のカギを握っているといっても過言ではないだろう。その石油製品の安定供給の最先端にあるのがSSである。石油業界の第一の使命は石油を安全そして安定的に供給していくことだろう。ガソリン需要は今後最盛期を迎える。我々石油業界がその供給責任を引き続き全うしていくために肝に命じなくてはならないのは、石油を安売りの道具にしてはならないということだ。