日刊ニュース

2014.07.31 のニュース

減販が続くが需給は締まる-適正マージン確保の経営ヘ-

 ガソリンは夏場商戦に入ったが170円/リットル相場の高値となり、節約による減販が心配されている。一方では、猛暑日が続きカークーラーの使用増による増販も期待されており、今後の天候が販売数量に大きく影響しそうである。
 原油コスト連動の新体系による仕切価格改定では、2週で2円の値下げとなったため、石油情報センターの調査価格は平均で169円80銭となり、前週比で10銭の値下がり、20週ぶりの値下がりとなった。マスコミも10銭の小幅な値下がりを大々的に伝えている。それだけガソリン価格が関心事となっていることになるが、車の利用が多い地方では、ガソリンの高値は消費生活に大きな影響を与えていることになる。
 ユーザーも高値のため、数量を限定して給油しているケースも出ている。災害時を想定して、自己防衛のために常に満タン給油を奨励する運動を石商で展開しているが、高値を理由に反発を買うケースも出ている。このようにガソリン高が問題となっているが、原油価格の値上がりを反映したものであり、最近では、3月が159円であったものが、170円となり11円の値上がりとなっている。そのうち4月からの消費税の3%増税分(約5円値上げ)を相殺すると6円の値上がりとなる。ちなみに昨年7月初めの153円と比べると17円の値上がりとなる。原油高、円安によるコスト増もあるが、消費税の増税分の5円値上げは大きく、減販の要因となっている。
 ガソリンの販売をみても4月は消費税の増税で8.8%も大幅減(3月は増税前の仮需要で8.5%の増)、5月も3.8%減となっており、6月も3~4%の減、7月も台風の影響で約5%減が見込まれている。石連週報の1週間の出荷は7月に入っても98~99万キロリットルで100万キロリットルを下回っている。昨年7月は500万キロリットル、8月は532万キロリットルを販売しており、この数量をどこまで下回るのかが焦点となる。今年度の需要見通しでは2%程度の減少となっているが、この減少幅を上回るのは必至とみられている。
 「減販は確実視されているが、減販を強調すると価格競争を煽ることになる。適正マージンを確保することで減販分をカバーすべきである」との声もある。省燃費車の普及、人口の減少から増販を期待することは難しい状況にあるが、ここは増販を求めて価格競争を展開することなく、適正マージンを確保する経営に転換する時期にきている。そのマージンは、過去は20円あったものが、15円となり、最近では10円を割っている。10円以上確保しないと、再投資が難しいとされており、最小でも10円を確保したいというのが販売業者の本音のところである。
 総合エネ調の石油・天然ガス小委の報告書でも「再投資可能な適正マージンの確保が必要である」と指摘しているが、元売、販売業者間で共通認識として理解されるかがポイントとなる。HC、PB、無印SSが増加する状況下では、マージンに関する考え方が違うため共生することは難しい面もあるが、これ以上SSを減らさないためには、適正マージンを確保することが大切である。設備処理により需給が締まっており、適正マージンの確保が期待できる状況にはなりつつある。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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