2014.08.01 のニュース
枯渇ガス田を活用した地下貯蔵-水溶性ガス開発で新技術など検討-
総合エネ調石油・天然ガス小委の中間報告がまとまったが、うち、石油・ガス開発については「上流権益の獲得としては自主開発比率の向上を目指すため政府が後押しする」としている。目標値は、エネルギー基本計画でもエネルギーミックスの数値が未定であるため提示していない。
国内の資源開発では、①メタンハイドレートの開発推進、②3次元物理探査船「資源」による毎年約6000平方キロメートルの探査を進め、有望な海域では試掘調査を実施。③新潟等のガス田開発の重要性を認識するとともに南関東ガス田を始めとする水溶性天然ガスの開発促進、④枯渇したガス田を活用した地下貯蔵の可能性について法的、技術的検討を深める、などの推進策が織り込まれた。
メタンハイドレートの開発は、国産資源として調達リスクが低く、埋蔵量が多く、東部南海トラフでは約10年分の資源量が推定され調査が実施されている。砂層型では2013年3月に世界で始めて海域の減圧法によるガス生産実験を行ない、6日間で約12万平方メートルの生産を実施した。今後は、より長期の海洋産出試験を実施し、2018年を目処に商業化の実現に向けた技術の整備を行なう。その際、2023~27年の間に民間企業が主導する商業化のプロジェクトが開始されるよう技術開発を進める方針を決めている。表層型では、2013年度から3年間で調査を実施(新潟県沖合い)、14~15年度で有望地点の地質サンプルを取得、15年度末頃には、資源回収技術の本格的調査や研究開発に着手することになっている。
また、わが国周辺海域では物理探査を進め、有望な海域では試掘調査(基礎試錐)を実施することになっている。水溶性天然ガス開発は、千葉など南関東で行なわれている。天然ガスとヨードが付随水(かん水)から生産されており、ヨードは年間9500トンで世界の約30%を占め、チリに次いで世界2位となっている。開発に際しては、環境を配慮した新たな技術開発の方向性について検討を行なうことになる。
枯渇ガス田を活用した地下貯蔵については、すでに民間企業で実施されている。将来的には輸入したLNGを貯蔵することで、季節間のLNGスポット価格差を利用して調達コストの低減に活用ができるため、法整備と技術的な検討の要望が石油開発業界から出ていたものである。
海外の資源開発では、上流権益の獲得について資源外交を積極的に展開するとともに、巨額な費用を要するリスクマネー供給等により日本企業の権益獲得を後押しし、自主開発比率を向上させるとしている。
原油調達は、80%を中東に依存しているが、供給源の多角化に向け日本企業による輸入、上流開発への参画を後押ししつつ、ロシア、アフリカ、メキシコ、カナダ等、有望なポテンシャルを有する国からの新規供給に取り組む。ロシアは中東以外では最大の原油供給国(6.9%)であり、東シベリアへの日本の進出が課題と位置づけられる。メキシコは、外資を含めて権益の開放が見込まれる。
天然ガスは、米国、カナダ、ロシア、モザンビーク、豪州、パプアニューギニアからのLNG供給を実現して供給多角化をはかる。加えて資源国との関係強化やリスクマネー供給を通じて上流権益の獲得を図ることになる。