2014.08.11 のニュース
7月の現実、8月の皮算用
7月の元売ガソリン卸価格は、大手3社が前月比0・8~1・3円高と公表、平均的には1・1円の値上がりとなった。小幅な原油安と円高となったことで、中東産原油FOB円建てコストは1・1円の値下がりとなった。したがって、7月の系列向けガソリン精製元売粗利は差し引き2・2円良化した計算になる。陸上業転向けは2・3円良化した形跡が残るから、業転と系列格差は小幅ながら縮小し、さらに自らの採算性が良化するという姿となった。
一方のSS消費税別7月業況は、小売平均は2・5円高を実現、系列卸が1・1円高となったことで、差し引き1・4円程度、採算性が良化した概況だ。陸上業転も1・2円高にとどまったから、PBの採算性も1・3円良化した形跡が残る。県別でみても卸高に届かなかったところは皆無で、SS粗利の良化は全国的な傾向といえる。SSのガソリン粗利は消費増税以降、縮小を続けていたが、ここにきてようやく採算性は上向いたことになる。
SSや元売の収益を語る場合、数量という側面も見逃せない。というのも、4-6月の元売決算における石油部門の正味業況が想定外に悪過ぎるからだ。最大油種のガソリンの元売粗利が、前年比4円以上も良化しているのに、前年並みの業況に沈んだという元売も出ている。元売業況のV字回復を阻んだ最大の要因は、恐らく想定を超える内需不振だろう。そこに、製品輸出の不振が加わり、大きく業績を下振れさせたように見える。
JXの4-6月の場合、内需ではガソリン8・1%減、内需計9・5%減など、内需不振も色濃いが、輸出は実に34・4%減という急ブレーキとなった。国内の採算が良化した、これを優先したという部分もあるだろうが、ガソリンに次ぐ第2位のボリュームとなっている「製品輸出」という油種がここまで落ち込んだことが、元売業績の良化を阻んだ要因だろう。
元売の製品輸出に関しては、まだ市場開拓の余地はあるのだろうが、業績を下支えする内需に関しての8月以降の強化部分は、元売もSSも、とても数量には見いだせない。特にSSには、採算を損なわずに量的拡大を図る道は、ほとんどない。四国南部のように豪雨禍に直面することなく、自身の商圏が暑い夏に恵まれたことを天佑として、収益重視を経営の中心に据えて歩もう。