日刊ニュース

2014.08.11 のニュース

元売、マージン拡大で業績回復-販売業者の低マージンは続く-

 元売各社の4~6月期決算をセグメント別での石油事業(石油製品)でみると、業績が黒字回復した会社と赤字となった会社とに分かれた。だが、赤字となった会社でも製品マージンが拡大したため業績は回復傾向にある。反面、販売業者サイドは依然としてマージン減が続いており、元売だけが業績回復していることに不満も出ている。
 4~6月販売をみると、4月からの消費税の増税を前に3月には仮需要が発生して増販となり、4月は仮需要の反動で燃料油全体で5%減、ガソリンは8.8%の大幅減販となった。4月以降も減販が続き、6月までにガソリンは4%減、全体でも5%程度の減となっている。
 一方、原油価格は、ドルベースでは値上がりとなったが、円/キロリットル換算では値下がりとなり、市況が維持されたこともあって製品マージンは拡大して、業績は好転した。国内市況が値上がりしたが、その時期に処理している原油は値下がり時期のものであったため、タイムラグによって元売はマージンが増加することになった。加えて設備処理か3月末までで終わり、その後の定期修理と重なって需給がタイトになり、値取り完達されることになった。仕切価格は原油コスト連動方式に移行したこともあり、元売のマージンは大幅に改善されてきた。このように元売の施策が、良い方向に回っており、業績回復のチャンスとなってきた。
 各社別でみると出光の石油事業の営業利益は71億円(前年は41億円)で、前年比で30億円の増加となった。在庫影響除きでは103億円(65億円の損失)となるため、168億円の増となる。在庫影響については、原油価格はドルベースでは6月に向けて値上がりしたが、為替が円高となり、円/キロリットル換算では在庫評価損が発生した。減販ではあったが製品マージンが拡大したため増益で黒字となった。
 昭和シェルの営業利益は49億円(1~3月が2億円)となり、前年比では18億円の増となった。在庫影響除きでは44億円で37億円の増となっている。1~6月の連結では営業利益169億円(石油が52億円、エネルギーソリューションが111億円)となった。石油は在庫影響を除くと8億円となるが、純利益140億円となった。また、将来収益も安定し、戦略投資が実行可能なキャッシュフローが確保できるとして、14年に年間配当を2円を増配し、38円(中間配当19円)とすることを決めた。
 JXは石油製品の在庫影響除きで242億円の経常損失(257億円の損失)となった。前年も赤字であったが、前年比では15億円の改善となる。
 コスモの石油事業の経常損失は61億円(前年は129億円の損失)となり、前年が大幅な赤字であったため68億円の改善となった。在庫影響を除くと30億円の損失となり、前年が127億円の損失であったため97億円の増加となる。マージンの拡大により148億円のプラスとなり、販売数量減で38億円のマイナスとなっている。
 このようにJXとコスモが赤字となり、出光、昭和シェルが黒字という形となったが、各社ともマージンが改善されているため、7月以降は黒字が定着して推移しそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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