2014.08.14 のニュース
精製・元売の再編注視を
先ごろコスモと東燃ゼネラルは、相次いで2つの契約締結を発表した。1つは、コスモの子会社であるコスモ石油ルブリカンツ千葉工場における潤滑油製造を、東燃ゼネラルの子会社であるEMGマーケティング鶴見潤滑油工場に業務委託するというもの。もう1つは、LPG元売事業の統合で、両社のほか昭和シェルと住友商事が参画する。コスモの子会社であるコスモ石油ガスを受け皿会社として事業統合を実施。来年4月の統合に合わせて商号を変更する。
コスモと東燃ゼネラルは、両社千葉製油所(東燃ゼネラルはグループ会社の極東石油工業・千葉)の共同事業化へ向けた取り組みを、すでに昨年10月にスタートさせている。今回のケースは、効率化・合理化の対象がガソリンではなく潤滑油やLPGだったが、エネ庁が「資本の壁や地理的な壁を超えた、統合運営による大胆な設備最適化」を強力に推し進めようとしている現状下では、これも1つのステップと捉えるのが自然だろう。精製・元売各社はすでに、生き残りをかけて、効率化・合理化へ向けて動き始めている。
石油業界ではこれまで、精製・元売の再編が繰り返し行われてきた。前段で登場したコスモ、東燃ゼネラルそして昭和シェルのいずれも、再編によって誕生した歴史を持つ。東燃ゼネラルが現在の形になってまだ2年だが、コスモは再来年で創立30周年を迎える。そしてこうした再編のたびに、SS業界もまた、さまざまな形で荒波を被ってきた。精製・元売の再編を他人事といって済ますわけにはいかない所以であり、その動向は時に、SSの死活に係る重大な経営判断の材料ともなってきた。
エネ庁がまとめた「石油精製業の市場構造に関する調査報告」の中でSS業界がいま最も注目するのは、業転解消に直結する“過剰精製能力の削減”だろう。しかし、国内の精製設備は昨年度までの高度化法対応もあって、単純な削減という意味ではそろそろ限界に近づきつつある。今後、余剰能力の解消を模索するなら、個社としての取り組みではなく、複数社による共同化や場合によっては合併までもが可能性として浮上する。そうなればSS業界への影響は必至だ。精製・元売が動く時、SS業界はいままで以上に、その奔流に巻き込まれることになる。そのことを肝に銘じて、今後の精製・元売の再編を注視する必要がある。