2014.08.14 のニュース
灯油は減販を見込み低在庫-秋には「灯油高のガソリン安」ヘ-
灯油は不需要期であり、石油情報センター調査のSS店頭価格も107円80銭/リットルで横ばいが続いている。ガソリンは小幅な値下がりをしているが、灯油は家庭用を消費するケースはなく、荷動きはない。夏場での市況は動きも鈍く、一般には関心が薄い。調査価格も実需を伴わない数値であるため、統計の連続性を保つためだけに調査が行なわれていることになる。
販売数量をみても、昨年の8月のガソリンは523万キロリットルであったものが、灯油は52万キロリットルであり、石連週報の1週間の出荷はガソリンは100万キロリットルであるのに対して灯油は9万キロリットルである。ピーク時の昨年12月の灯油販売数量でも286万キロリットルと300万キロリットルを割っている。
今年は、減販が見込まれるためか、灯油在庫(2日)は174万キロリットルで前週に比べると10万キロリットル増となったが、前年に比べると81万キロリットルも低い水準にある。ガソリン在庫も162万キロリットルで前年に比べて49万キロリットルの低水準であるが、灯油在庫の水準は、減販を見込んでも低過ぎるとの見方もあり、これから積み増しが行なわれるものとみられる。
これから大手薪炭商、灯油専門業者は灯油在庫の積み増しに取り組むため、需給状況、業転市況、仕切価格の変動を注目している。夏場の安値で買い、在庫で持ってシーズン入りの高値となったところで売り、利益をあげるのが灯油商戦のポイントとなる。だが、シナリオ通り推移するとは限らず、原油価格次第は大きく変化するため難しいところである。
灯油販売は、ガス、電気への燃料転換で、年率では3.3%減、5年後では全体で15%の大幅な減少との見通しとなっているが、これより加速して減少することも予想される。都市部では家庭用の需要がなくなり、SSでは灯油の扱いを停止しているケースも多い。販売が寒冷地に限定されることになり、ますます需要が減少するため、新規の需要開拓が求められるが、灯油暖房を拡大する対策がないのが実態である。
東日本大震災を機に灯油ストーブが増販となり、需要の増加が期待されたが、結果的には増販には結びつくことなく現在に至っている。平成25年度の販売も5%減となっている。
製品市況は、今のところ「ガソリン高の灯油安」の価格体系にあるが、秋には逆転するものとみられる。先物の9月限ではガソリンが83円/リットル灯油が81円とガソリン高で推移しているが、ガソリンがここにきて値下がりしてきた。7月初めが87円であったのに比べると4~5円の値下がりとなっており、10月限ではガソリンが81円、灯油が82円と、すでに逆転している。
元売は灯油、ガソリンとも、需要減が見込まれているため低在庫で対応して、需給をタイトにしてマージンを確保する構えにある。供給不足となれば増産、市中買い、輸入で対応するショートポジションを維持している。設備処理を行ない、稼動率をあげて高効率の操業をすることでマージンの確保を狙っている。
定期修理が明けると需給が緩和するとの見通しもあったが、4~6月の業績は、マージンは改善されたものの赤字となっているため、7~9月、下期での挽回を見込んでおり、需給タイトを維持しながら市況維持に努めるものと見られる。