2014.08.18 のニュース
SS減を直視した販売政策
2013年度の国内SS指標がほぼ出揃った。2013年度末の登録SS数3万4706ヵ所と、ガソリン内需5542万㌔㍑から導き出される1SS当たりの月間平均ガソリン販売量は、前年度比4・2㌔㍑増の133・1㌔㍑となった。また、自動車保有台数8032万台と登録SS数から導き出される1SS平均台数は2314台となり、前年度から123台も増加した。車もガソリンも増えている。しかし、多くの販売業者がその数字から得られる収益的な恩恵はおろか、実感さえ感じることができないでいる。
一方で、13年度のガソリン内需は1・4%減の5542万㌔㍑に落ち込み、3年連続で前年割れを記録するなど、需要減が顕在化しつつある。ガソリン小売価格も原油高・円安を背景に170円に接近するなど、消費者の買い控えや節約志向を促進させている。肝心の収益はどうかというと、元売各社が4月以降精製マージンを回復させている中で、SSのガソリンマージンは10円以下に沈み込み、回復の兆しも見い出せない。
SS指標の中でもプラス・良化している指標は全く機能せず、マイナス・悪化している指標だけが機能し、SSを取り巻く厳しい経営状況を浮かび上がらせている。
これまで元売各社が行ってきた販売政策は、クレジットカードによる顧客の囲い込みと称したガソリンの値引き販売。そして、V指数に象徴される指数経営の推進も、10円以下で経営が成り立つSSの競争力強化に名を借りたガソリンの拡販がその正体だった。結果、94年度末に全国6万ヵ所の巨大なネットワークを誇っていたSS業界は、約20年間で4割強が廃業・撤退に追い込まれた。
1SS当たりの顧客数が増え続け、数量も増え続けている。いま、生き残っているSSは、激しい販売競争、厳しいコスト削減競争を勝ち残ってきたSSだとも言い換えられる。本来であれば「生き残るための最低限の利益の確保」などと声高に叫ぶ必要のない、経営体質を保持していてもおかしくないのに、逆に、いつ倒産に追い込まれてもおかしくない経営状況に追い込まれているのだ。
これまでSSの生き残り、勝ち残りのために、各種の経営支援策を留処なく行ってきたという元売もいるだろう。しかし、そうした自負心を抑え、毎年のように多くの系列SSが減り続けている現実を直視した販売政策の実行を求めたい。