2014.08.19 のニュース
精製も、構造不況業種である
7月31日のJXホールディングスを皮切りにスタートした精製元売大手5社の決算発表が、出光興産、昭和シェル石油、コスモ石油と続き、14日の東燃ゼネラル石油で終わった。民族系、外資系という括りは難しくなったが、JX、出光、コスモの3社は2015年3月期の第1四半期決算であり、昭和シェル、東燃ゼネの2社は14年12月期の中間決算となる。
4月以降、第1次エネルギー供給構造高度化法や製油所の大規模定修の効果を受け、低マージンで苦しむSS業界が羨む潤沢な精製マージンを叩き出してきた精製元売だけに相次いで好決算を発表するかと思いきや、一部を除き予想外の低調さとなった。5社別の純利益をみると、第1四半期組の出光が前年比59%減の92億円、コスモは純損失18億円増で65億円の赤字。最大手JXも60%減の142億円で、石油部門を所管するJXエネでみれば経常利益243億円の損失である。中間決算組の昭和シェルは53%減の140億円、東燃ゼネは純損失40億円増で149億円の赤字だった。石化不振や輸出の苦戦など要因はそれぞれだが、改めて、石油業界を取り巻く環境の厳しさを痛感させる結果となった。
「政策的構造不況業種」と呼ばれる石油業界だが、この言葉はSS業界以上に装置産業である精製元売業にこそ深刻に響く。生産稼働率を上げればコストは低下するが、市場は余剰玉で溢れる。逆に精製マージンを確保するならば、生産を止めるか稼働率を落とすしかない。減販時代の大きなジレンマを抱える。
5社中、低調さが際立つのが損失計上したコスモと東燃ゼネの2社である。コスモは第1四半期のみとはいえ、燃料油減販から売上高も9・5%減の7444億円に減少させた。石油会社の最大の強みはキャッシュフローの良さだが、そこが劣化すると大きな問題になる。両社とも通期業績では当然黒字を見通すが予断を許さない。通年で考えれば需要期の下期は稼働率も高まり、利益確保は不安定化する。
コスモと東燃ゼネに昭和シェルを加えた3社は事業連携を深める。精製も東燃ゼネ・川崎と東亜石油・水江の両製油所はすでにパイプラインでつながり、コスモ・千葉と極東石油工業・千葉も15年1月に共同会社を発足、パイプライン建設を進める。厳しい決算を受け、精製連携にも待ったなしの感が強まっている。