2014.08.19 のニュース
マージン確保も減販で相殺-今後は黒字定着の見通し-
石油各社の4~6月(1~6月)期決算が出揃った。4~6月は原油価格が値上がり、製品価格への転嫁がポイントとなったが、設備処理の効果、定期修理とが重なり、需給が締まったため値取りができ、製品マージンが回復したため増益効果が発揮された。だが、消費税の増税を前にした仮需が発生したため4月以降は減販となり、製油所の定期修理に伴う操業停止などのマイナス面が発生したことで相殺され、赤字と黒字の企業に分かれる結果となった。
前3月期の決算は実質赤字であったため、4~6月期でマージンが改善されたことから、黒字が見込まれる明るい見通しとなってきた。販売数量減の影響で小幅な利益に止まっているが、減販傾同が続くものの、需要期に入り増販が見込まれるのと、原油コスト連動の新体系による仕切価格が定着すればマージンは確保できるものとみられ、黒字定着が見込まれている。しかし、販売業者の経営については、マージン確保が遅れていることが懸念されている。
各社別で見ると東燃ゼネラル石油の4~6月期の石油事業の調整後営業利益は6億円となった。1~3月期が国内マージンの低迷で173億円の損失であったため、1~6月期(上期)では166億円の損失となった。4~6月期は国内マージンが回復したが、中間留分、重油の輸出市況が軟化し輸出マージンが低下、H-Oilを含む定期修理による得率、数量の悪化による影響で利益が小幅に止まり、1~3月期の大幅な赤字を消すことができず、下期に持ち越しとなった。だが、通期見通しは赤字を消して70億円の利益を見込んでいる。
出光の石油事業の営業利益は71億円(前年は41億円)で前年比30億円の増となった。在庫影響除きでは103億円(65億円の損失)となるため、168億円増となる。製品マージンの拡大で黒字となった。
昭和シェルの営業利益は49億円(1~3月が2億円)となり、前年比では18億円の増となった。在庫影響除きでは44億円で37億円の増となっている。1~6月の連結では営業利益169億円(石油が52億円、エネルギーソリューションが111億円)となった。石油は在庫影響を除くと8億円となるが、純利益140億円となった。将来収益も安定、戦略投資が実行可能なキャッシュフ口ーが確保できるとして、14年に年間配当を38円(中間配当19円)として2円を増配する。
JXの石油製品は、在庫影響除きで242億円の経常損失(前年は257億円の損失)となった。前年も赤字であったため前年比では15億円の改善となる。製品マージンは良化したが、販売数量が減少したため前年並みの赤字となった。定期修理、室蘭の操業停止など減産によるマイナスが影響した。
コスモの石油事業は経常損失61億円(前年は129億円の損失)となり、前年が大幅な赤字であったため68億円の改善となった。在庫影響を除くと30億円の損失となり、前年が127億円の損失であったため97億円の増加となる。このうちマージンの増加で148億円の増、販売数量減で38億円のマイナスとなっている。このようにJX、コスモは赤字となったが、マージンが回復したものの、販売減が大きく影響したことになる。