2014.08.20 のニュース
製品輸出、石化の不振で業績悪化-7月以降は製品マージン確保で黒字に-
石油各社の4~6月期決算が発表されたが、好調であった石油化学が減益か赤字、さらに製品輸出が減少、マージン減となるなど、様変わりをみせている。
石油事業では、製品マージンの回復で増益が見込まれたが、4月は消費税増税による3月での仮需の反動により減販となり、その後も高値による節約の浸透で減販が続いたのと、製油所の定期修理による操業停止でのマイナスが影響して赤字となる会社も出てきた。だが、7月以降は製品マージン回復による黒字を見込んでいる。
前3月期決算での石油事業は、減販と製品マージンの低下で実質赤字決算となっていたが、その赤字を石油化学へのシフト、製品輸出の増加による事業拡大策で取り組み、赤字をカバーしてきた。製品輸出は、海外市況の高騰、為替の円安効果でメリットが生じ、利益を確保してきた。だが、ここにきて海外市況が下落したため減益となってきた。
輸出は国内の製品販売の減少が続いており、その販売減を輸出増でカバーすることで国内の需給を調整する役割を果たしてきた。加えて円安によって輸出メリットが生じており、軽油、ジェット燃料の輸出が好調となり、輸出が難しいとされたガソリンも増加した。しかし、海外市況の下落により輸出は減少、輸出での利益確保は難しくなってきた。
軽油の輸出をみると平成25年度は年間で1040万キロリットルとなり、前年比で62%増であった。だが、4月は72万キロリットルで前年比で10%減、5月が39万キロリットルで32%減、6月が57万キロリットルで27%減となった。世界的に石油需要が減少してきたため、需給が緩和傾向にある。シェールガスの増産もあり、石油製品の需給が緩和したことで海外の製品市況が下落してきたため、輸出メリットは減少してきた。
同じく石油化学も海外市況の下落で一転して減益、赤字となった。石油化学、製品の輸出は、海外の需給、市況に大きく影響を受けるため海外市況の下落によって一気に悪化した。海外市況次第という不安定な要因に左右されるため、企業努力の範囲を超えており、マイナスとなると打つ手がなく、値上がりするまで待つことになる。
石化製品は、中国を中心に経済が発展していた時期では供給不足となり、市況も安定して利益が見込まれた。しかし、経済成長の伸びが鈍り、一方では石化の新しいプラントの建設が行なわれ、これにより供給増から市況は下落してきた。各社の4~6月の石油化学事業をみると、JXでは在庫影響除きで19億円の損失(前年同期は224億円の利益)で前年比243億円の減益、コスモは18億円の損失(19億円の利益)で37億円の減益、出光が65億円の利益(99億円の利益)となっているが、37億円の減益となっている。
オレフィン類は堅調であったが、パラキシレンは中国経済の減速と韓国、中国でのプラントの新設で、供給増となりマージンが悪化したため減益、赤字となった。今までは石油事業の赤字を石油化学でカバーしていたが、4~6月期では石油と石油化学の2事業が赤字、大幅な減益となった。この赤字を石油開発の黒字で相殺することで連結決算は黒字となっている。