2014.08.21 のニュース
ガソリン下落も仕切値下げの範囲に-マージン確保するも減販が心配-
ガソリン市況は下落しているが、仕切価格の値下げ幅の範囲に止まり、マージンは維持されているようである。8月に入ってからガソリンの仕切価格は、JXが70銭/リットル、出光が1円の各値下風を打ち出している。一部で安値も散見するが、在庫も低位であり、業転玉の出回りも少なく、仕切価格の値下がりが小幅であるため、末端市況も維持されている。
石油情報センター調査では、全国平均が169円20銭/リットルで4週累計で70銭の値下がりに止まっている。市況実勢では、街道沿いの表示価格は165円が中心値となり、7月価格に比べると2~3円の値下がりとなっている。安値は160円を割っており、土・日曜日は特価という商法も散見されるが、今のところ大きく値崩れしてはいない。
減販傾向にあるが、7~8月はガソリンの需要期であり、通月からみれば増販が見込まれるため、元売、販売業者とも増収、増益に期待をかけている。大型台風の到来と大雨の影響で減販となっているため、これから月末に向けて増販への期待が大きい。そのため、価格競争が再燃することも懸念され、予断を許さない。8月を乗り切ったとしても9月以降となると減販の影響が出るため、販売業者がこれをカバーしようと価格競争に走ると、市況維持の成果が消えることになる。
元売は、6月から仕切価格の改定方式を原油コスト連動の新体系に移行しているため、その定着を狙っており、値下がり局面であるが、値崩れ防止に努めている。今までの市況(業転)連動方式から原油連動方式に変更したことで、製品価格の90%を占める原油コストの変動を重視しているため、安定したマージンを確保することが可能となる。
販売業者も業転市況との価格差が縮小されれば、業転リンクよりもユーザーに説明がつくとして受け入れており、スタート時には問題なく浸透した。新体系により元売はマージンが回復しているため、今後の業績見通しでは黒字を見込んでいる。
元売の4~6月の業績では、製品マージンが回復して黒字が見込まれた。だが、大幅な減販、製油所の定期修理による稼働率の低下、製品輸出のマージン減などのマイナス要因が重なった。さらに新体系によるマージン確保が6月となったこともあり、赤字となる会社も出た。黒字となった会社も利益は小幅となった。
このような状況から7~9月では、マージンが回復して黒字になると見通している。4~6月で黒字でスタートする目論見であったが、赤字となる予想外の展開であったため、7~9月では黒字に回復するとみており、当初見通しの方針は変更せず対応している。それだけ7月以降で業績を挽回できるチャンスがあるとみていることになる。
一方、販売業者もマージンを確保したが、元売に比べると低いため、不満が出ている。元売はマージンが改善して黒字体制に移行したが、販売業者は市況維持に取り組んでいるものの、適正マージンの10円確保は難しい状況にある。160円台という高値感から減販が続いているのと、ここにきて値下がり局面となってきたため、マージン減が心配となってきた。9月になると販売数量が減少するため、更なる市況対策が重要となる。