2014.10.16 のニュース
ドライブ・イン・ジャパン
訪日外国人がもたらすSSビジネスチャンスについて、石油協会の後藤康浩理事が理事会で披露された話を、以前この欄で紹介した。その時の話をもう少し詳しくお聞きしたので、改めて紹介したい。
2013年の訪日外国人は03年比で倍増し、初めて1000万人の大台に乗った。1位は韓国で245万人。台湾、中国、ASEANとアジア勢が続き、5位が米国だった。10年前と比べると中国、台湾が3倍、ASEANが2・6倍。訪日外国人は劇的に増えている。国内需要が減少の一途をたどる中、明らかに右肩上がりの訪日外国人需要をビジネスチャンスと捉えない手はない。
現状では訪日外国人の大半が、移動に鉄道や飛行機、タクシーなどを利用しているのだろうが、その一部でもSSの顧客として取り込めれば、ガソリンの増販も期待できる。そのために、業界として訪日外国人のレンタカー利用を積極的に後押しするといった運動も必要になるだろう。
ただしその前に、まずは訪日外国人が安心して運転し、給油できる環境を整えなければならない。SSでは外国語を話せるスタッフの育成や、外国人でも不安なく給油できるよう外国語の説明書を準備するなどの取り組みが求められる。流暢な外国語である必要はない。安心して給油できるSSを地図や観光案内でPRするとか、外国語による周辺の観光案内図をSSに用意しておくことなども効果がありそうだ。
さらに、観光庁の“ビジット・ジャパン”に連携する形で、海外に対して日本での積極的な車利用を呼びかける“ドライブ・イン・ジャパン”といったプロジェクトを立ち上げ、これをネットで海外向けに発信するとともに、成田、関空などの国際空港でポスターやパンフレットを使ってPRするなど、業界全体としての取り組みに持ち込めれば効果はさらに拡大する。それは、20年に訪日外国人2000万人達成という国の方針とも一致するから、国の支援策を求めることも期待できる。
いま、多くの国内観光地で見られる外国人観光客の賑わいは、地元の受け入れ努力と宣伝活動の賜物だ。SS業界も、同様の取り組みに新たな可能性が隠されてはいないか。大きな効果は期待できないかもしれない。しかし、地道な努力が石油の需要を少しでも増やす契機になるなら、その努力は決して無駄にはならない。