日刊ニュース

2014.10.21 のニュース

下げ過ぎを避ける冷静な対応を 末端市況は値下げ局面を迎える

 原油価格の急落で仕切価格が値下がりとなり、これから末端市況も値下がりとなるが、仕切価格の値下がりよりも値下げすることなく、販売業者の冷静な対応が求められる。過
去の例からも下げ過ぎで対応しているため、二の舞を避けたいところである。
 原油価格(ドバイ)は6月が110㌦/バーレルであったものが、80㌦台の急落しており、加えて為替が109円㌦/バーレルから106~7円/㌦と円高に転じており、一気のコスト安となっている。予想外の展開であり、石油業界は危機感を強めているが、原油と為替は予想が不可能と言われており、それが実証された。
 コスト安は、石油製品が値下がり、今での割高感が薄れ、需要が回復して増販が期待されるとのメリットは生じるが、その反面、コスト安を先取りして末端市況が急落して、逆に利益を吐きすのではないか、との心配も出ている。すでにガソリンの末端市況は急落している。そのツケが元売の回ることが予想されている。
さらに、今まで原油高で好調であった石油開発事業は、原油安から減益となるため、連結決算に影響するなどマイナス面も指摘されている。
 足元の原油はWTIが82㌦、ドバイ、ブレントが85㌦程度で推移しているが、80㌦割れとの見方も出ている。ここにきて、下げ過ぎでのため調整局面に入るのか、見通しは難しく、この数日間の値動きが注目される。
 原油価格の下落要因は、①世界の景気が後退しており石油需要が減少している、②地政学的リスクが緩和している、③供給増となっているが、OPECなど産油国の減産対応
が不調である、④シェールガス・オイルの増産が原油価格を押し下げている、なども値下げ要因が重なっている。これらの値下がり要因を解消するには、時間もかかりそうであり
原油安は続きそうである。
 原油が80㌦を割ることは産油国の財政難、石油開発企業の業績悪化、コスト割れで開発投資が停止される、などに影響が出るため、いずれは原油価格が値上がりするが先は読めない。
 国内では、原油急落の影響を受けて、ガソリンの仕切価格は、9日から1円~1円50銭/ℓ、16日から2円50銭~3円の値下がりとなり、2週間で4円の大幅値下がりとなった。その結果、末端市況は値下がりとなるが、すでに先取りして値下がりしている。今回の一連の仕切価格の値下がりで、さらに値下がりすることになる。
 石油情報センターの調査価格(14日)は、平均で165円30銭となり、前週比70銭/ℓの下げ、13週連続の値下がりで、通算で4円60銭の値下がりとなっている。
 今回は、2週で仕切価格が4円の大幅値下がりとなったため、末端市況は、さらに値下がりとなるが、どの水準で食い止めるかがポイントとなる。安値は150円の攻防となりそうである。
 原油が、さらに値下がりするとなると、末端市況が混乱することが心配されている。値下がり局面では、販売業者にとってはコスト安となるため、市況を維持すれは、マージン
が確保できることになるため有利な状況となる。しかし、実態は仕切価格の値下がりを先取りして値下げ価格競争が展開されている。値下がり局面となると、市況の構築が難しい
が、下げ過ぎは避けるべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE