日刊ニュース

2014.10.28 のニュース

減産で産油国の動きが注目も原油下げ過ぎも世界経済に影響大

 原油価格は、WTIが82ドル/バーレル、ドバイ、ブレントが84~5ドルへと下落したが、足元は安定して推移している。80ドル相場圏内となっているが、当面は11月27日のOPEC総会(ウィーン)に向けての減産合意の動きが出てくるか否かポイントとみられている。
 過去の例では総会で議論したが、方針が決定することができず数日間かけて審議したが、最近は当日に決定している。そのため事前の調整が行なわれ、産油国間の足並みが揃ったが、今回は、減産となるため調整難の難航が予想されている。それだけに総会前にも産油国間での調整が行なわれ、消費国をも抱き込んだ動きが出るものみられる。
 今までは原油価格も100ドルで推移しており、産油国も満足できる水準であったため生産枠(3000万バーレル/日)の据え置きで決まっていた。そのため総会開催の関心も薄れており、消費国も現状を容認していたことになる。しかし、原油価格が80ドル台で推移しているため、この状況が長く続くことになると産油国の財政が危機となる、石油・ガスの開発投資が見直しになるなど開発企業の業績も悪化するなど、経済への影響も出てくるため、下げ過ぎも心配されている。
 原油価格が安値で低迷する要因としては、①中国、欧州の経済が減速しており、石油需要が低迷、需給が緩和している、②地政学的リスクが緩和している、③アメリカのシェールオイルの増産で製品輸出が行なわれており、需給緩和に圧力がかかっている、④リビア、イラン、イラクが増産で対応している、などの点があげられている。さらに、OPECの減産も、余力があるのはサウジのみであり、順守できるのか疑問視する見方もある。
 一方、値上がりする要因としては①これから冬場の需要期に入るため原油処理増となるため原油需要は増加する、②地政学的リスクとしては、イスラム国の勢力の拡大、アメリカなどとの対立強化、イランの核問題などが生じる、③OPECの減産合意で需給がタイトになる、などがあげられるが、天候が厳冬になって、経済が回復すれば値上がりも見込まれる。しかし、原油、為替の見通しは難しい。
 さらに、アメリカのシェールオイルの生産コストは80ドルとみられ、80ドル相場にすれば生産停止に追い込まれ、原油需給が締まり、値上がりするのを待つとの産油国のシナリもある。だが、80ドル割れとなると世界経済が大混乱するとの危機説もあり、80ドルは割らないとの見方が一般的であり、今のころ反発しており、84~5ドルが底値で下げ止めとの状況となっている。
 国内は、原油価格が下落すると、石油製品の値下がりとなり、需要回復の好材料となるが、石油業界も業績面から見ると多くの問題点が指摘さられる。10月に入ってガソリンの仕切価格は、累計で7円/リットルの大幅な値下げとなっており末端市況も急一洛している。仕切価格を先取りして値下がりしており、下げ過ぎでマージンが減少しており、SS経営は厳しくなっている。
 値下げ局面では、市況を維持すれば、マージンが確保でき、業績回復のチャンスとなるが、仕切価格の値下がり分よりも末端市況を値下げることになり、マージン減となる。元売は、マージンを確保しているが、高値による減販と在庫評価損の発生で決算の数字は悪くなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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