2014.11.13 のニュース
石油開発、原油見通しで差が出る 通期業績で上方、下方修正に分かれる
上期(4~9月)の石油開発会社、元売の石油開発事業の決算が出揃った。石油開発の場合は原油価格、為替の影響が即反映するため、足元の原油価格の急落、為替の円安が推移しており見通しを難しくしている。
上期通期の平均でみると原油価格はドバイが104ドル/バーレル、ブレントは107ドル、為替が101円/ドルと前年同期比では、ほぼ横ばいとなっているため、利益面でも小幅な変動となっている。
上期中でみると昨年の原油価格は値上がり局面であったため、在庫評価益が出たかが、今年は9月末に向けて値下がりしため在庫評価損が発生したとの違いはある。しかし、足元は原油はドバイ80ドル/バーレルへと急落しており、為替は114~5円/ドルの円安となっているため、下期の見通しを難しくしている。
石油資源開発の上期経常利益は247億円(前年は199億円)で前年比で48億円の増、利益は188億円(159億円)で30億円の増となった。営業利益は151億円で36億円の増となったが、営業外では持分法の投資利益(サハリン石油開発、日本海洋掘削など)が57億円あり、利益を押し上げて増益となった。
通期見通しでは経常利益は488億円(前回予想は415億円)で予想比では73億円の増、利益は354億円(273億)で80億円の増となった。上期、通期も上方修正となった。
一方、国際石油開発帝石は、上期の経常利益は3684億円(3508億円)で178億円の増、利益は887億円(800億円)で86億円の増となった。営業利益は前年の横ばいであったが、持分法による投資利益増で増益となった。
通期では経常利益は6656億円(予想の7010億円)で予想に比べて450億円の減、利益は1600億円(1780億円)で180億円の減となる。予想比では下方修正となった。
見通しでは、両社間で上方修正と、下方修正という差が出たが、これは原油価格、為替の見通しの差によるものである。石油資源開発の原油価格は、国産原油が対象となるため原油CIFを採用している。10~12月が100ドル/バーレル(9月は106ドル)、
1~3月は85ドルと、為替は下期通期で105円/ドルとしている。原油は下落しているが、日本への輸入価格であるため、FOBベースに輸入価格に比べると3ヵ月程度のズレがある。国際石油開発帝石は、原油(ブレント)で85ドル(上期は107ドル)、為替は110円/ドル(103円/ドル)と、足元の原油安を見込んでいる。その差によるものであり、今後の実勢価格の動向にかかってくるが、変動期であるため差が出るが、長期でみれば収れんされる。
元売の石油開発事業でみるとJXは、経常利益は347億円(531億円)で前年比では184億円の減、通期では750億円(見通し850億円)で184億円の減となる。
出光の営業利益は179億円(110億円)で前年比で59億円の増、通期では230億円(230億円)で20億円の減となる。
コスモの経常利益は216億円(228億円)で12億円の減、通期は510億円(582億円)で71億円の減を見込んでいる。石化、石油事業の不振をカバーしている。
元売の場合は下期の見通しは、9月末のドバイ95ドル/バーレル、為替105円/ドルが、そのまま来年3月まで横ばいで推移することを前提にしている。